ボルダリング用チョークの選び方を徹底解説!プロのおすすめもご紹介

ボルダリングの選手が壁に登る前に手につけている白い粉。テレビなどでご覧になった方も多いかもしれませんが、あれは競技用に作られている専用のチョークです。この記事ではチョークとは何なのか?付け方や選び方、アフターケアについてご紹介します。TEAM auの野口啓代選手や楢﨑智亜選手もトレーニングでよく訪れている都内屈指の大型ボルダリングジム「Base Camp Tokyo」(東京都板橋区)の石渡智也店長にお話を伺いました。

そもそもボルダリング用のチョークとはどんなもの?

今日はボルダリングで使うチョークについて教えてください。そもそもチョークはなんのために使っているのですか?

ボルダリングをしていると、どうしても手汗をかいてしまいます。汗で手が湿っているとホールドを掴むことが難しくなるので、チョークで手汗を吸収して滑らないようにすることが目的です。

手に汗をかきやすい人、そうでない人、人によって体質が違うことがありますよね。

クライミングの世界ではよく、手に汗をかきにくい人を「乾き手」、逆にかきやすい人を「汁(しる)手」「ぬめり手」と言います。乾燥しやすい「乾き手」の人はそこまでチョークに対してシビアになることは少ないですが、「汁手」「ぬめり手」の人は自分の体質にあったチョーク選びにこだわる場合が多いですね。

チョークを使うのと使わないのとでは、登りに変化はあるのでしょうか?

チョークなしで登ると手とホールドの間のフリクション(摩擦)が効きづらくなります。指がしっかり掛かるホールドだとあまり実感できないかもしれませんが、手のひら全体で押さえ込むような大きなホールドを使う場合は、チョークをつけた時とつけてない時ではホールドの「持ち感」がまったく変わってきます。基本的にボルダリングではチョークをつけないで登ることは考えられません。そういった意味では、チョークはボルダリングには欠かせないアイテムだと言えます。

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チョークについて親切に教えてくれたBase Camp Tokyoの石渡店長。
チョークって何でできているのですか?

黒板に書くチョークやグラウンドに引く白線はカルシウムですが、ボルダリングで使うチョークの主成分は炭酸マグネシウムです。メーカーによって炭酸マグネシウムの粒子の粗さが違っていたり、他の成分をブレンドしていたり、用途に応じて様々な種類があります。ちなみに体操の選手が競技の前に手につけている粉も炭酸マグネシウムです。

チョークのつけ方、つけるタイミングを教えてください。

基本的には課題に登る前につけます。つけ方としては、指先だけでなく手のひら全体が真っ白になるくらい満遍なくつけます。中には、手の甲にもびっしりつけたほうが精神的に安心して登れるという人もいらっしゃいますが、それはもう好みですね。1回のトライが終わるとどうしても指先のほうからチョークが取れていくので、次のトライの前にはまたチョークをつけます。手にチョークをつけることを「チョークアップ」と言いますが、慣れてくれば登る前のルーティンとして体に染みついていくと思います。

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チョークアップされた手。手のひら全体に満遍なくチョークをつけるように心掛けよう。
ジムでチョークをつける時に、気をつけておきたいマナーはありますか?

利用者の方にはチョークバックの中で手につけるようにお願いしています。お子さんがたまにやってしまうケースなのですが、中に入っているチョークボールを取り出してつけてしまい周囲に粉が飛び散ってしまうことがあります。体質によっては粉が舞うことに敏感な方もいるので、他の利用者のご迷惑にならないように気をつけてもらっています。人が密集したジムで登る時は、手がすっぽりと入る比較的大きなチョークバックを使うほうがいいかもしれません。

登る前にホールドをブラッシングするシーンを大会などでもよく見ます。

先ほどご説明した通り、手にチョークをつけると手汗を吸収して登りやすくなりますが、逆にホールドの細かな凹凸にチョークが詰まってくるとフリクションが損なわれてしまいます。ホールドにはチョークだけでなく、足で踏んだ際にシューズのソールが削れたカスが詰まっています。そういったものを丁寧にブラッシングして落としてあげることで、本来のフリクションを発揮させるようにしているんです。きちんとしたチョークアップと丁寧なブラッシングで、これまで登れなかった課題が登れるようになることはよくあります。

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登る前にホールドをブラッシングするTEAM auの伊藤ふたば選手(ボルダリングジャパンカップ2019)。
始めたばかりの方はジムでレンタルしたチョークを使うケースが多いですね。

ボルダリングを続けていくうちに、もっと登るためにはどうしたらいいだろう?と考えるようになります。技術の向上はもちろんですが、ボルダリング上達に影響する一番大事な道具がシューズで、その次がチョークです。チョークはそんなに値段が高いものではないので、自分の体質に合う合わないを試しながら、チョークとチョークバックは購入することをお勧めしますね。

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チョークバックはデザインも豊富。お気に入りを選ぶのも楽しみ方の一つ。

用途に応じたチョークの種類、登った後の落とし方

ジムではたくさんのチョークが販売されていて、どれを使っていいか迷ってしまいますね。

一番スタンダードなのが粉末タイプです。容量があってコストパフォーマンスも高いので、多くのクライマーが使っています。メーカーや商品によって粒子の粗さが違っていて、「乾き手」の人には粒子が粗いタイプが、「ぬめり手」の人には粒子が細かいタイプが向いていると言われています。面白いところでは、気分を盛り上げたい時、落ち着けたい時などの目的に合わせた匂いつきの商品もあったりします。

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一番ポピュラーな粉末タイプのチョーク。
粉末タイプ以外にはどんな種類がありますか?

次に種類が多いのが液体タイプで、炭酸マグネシウムにアルコールが含まれたものです。手につけてアルコールが揮発する過程で手の水分や油分が飛んで乾燥しやすくなるので、「ぬめり手」の人に好まれる傾向があります。粉末タイプをつける前の下地として液体タイプを使う人も多いですね。最近は下地としての機能に特化した商品や、手荒れが気になる女性向けに美容成分が入ったものもあります。

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用途に応じて各メーカーが工夫を凝らしている液体タイプのチョーク。
粉末タイプ、液体タイプのほかにもありますか?

あとは固形タイプ、ブロックチョークと呼ばれているものです。ブロック状なので割ったり、周りから擦り取っていくように使います。チョークバックに放り込んでおくだけで持ち運びも楽なので、岩場に行くクライマーは使っていることが多いです。「ティックマーク」と言って、岩を登る時に次の一手を出すポイントに矢印を書いたりする用途でも使われたりもします。値段も安いですし、岩場に行く人は一つは持っておきたい感じのアイテムですね。

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石鹸のような形をしたブロックチョーク。非常に軽い。
登り終わった後、衣類についたチョークはどうやって落としたらいいですか?

基本的に炭酸マグネシウムは洗濯すれば洗い落とすことができます。服にたくさんチョークがついてしまった時は、ジムで軽くブラシをかけておいて、家の洗濯機で洗えば服に残ることはないと思います。あと、忘れがちなのはシューズにしっかりブラシをかけておくこと。シューズ表面の細かい凹凸にチョークの粒子が残っているとフリクションが落ちてしまいます。しっかりブラッシングをしておくことで、シューズ本来の性能を発揮できるようになります。

TEAM au藤井快選手が愛用するチョークはこれ!

チョークに関する知識が深まったところで、実際にボルダリングのトップ選手はどんなチョークを使っているのかも気になりますよね?TEAM auのメンバーで、現在もクライミングジム「B-PUMP TOKYO」(東京都文京区)のスタッフとしても勤務。チョークについても詳しい藤井快選手にご自身が愛用しているアイテムについて聞いてみました。

藤井選手が使っているチョークを教えてください。

僕は「FrictionLabs(フリクションラボ)」の粉末チョークをずっと使っています。ハイクオリティなチョークで、同じ日本代表チームでも愛用している選手は多いですね。インドア用、外岩用、オールマイティとあるんですが、僕は一番粒子が粗いインドア用を使っています。

藤井選手のチョーク選びのポイントは?

「(ホールドを)持てるようになること」そこに尽きますね。自分の手に合わないチョークを使った時は、滑る感覚がありますし、十分なフリクションを感じられません。「FrictionLabs」は僕が務めているPUMPの店頭やオンラインショップでも取り扱っているので、みなさんも是非試してみてください(笑)

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トレーニングでも公式戦でも基本的にはいつも「FrictionLabs」を愛用している藤井選手。
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  • 石渡智也(いしわた・ともや)
    世界的クライマー、平山ユージがプロデュースするボルダリング専門ジム「Base Camp Tokyo」(https://b-camp.jp/tokyo/)の店長を務める。都内屈指の規模を誇る店内には初心者から経験者まで幅広いクライマーに対応したハイクオリティな課題がズラリ。ゲストセッターによるホールド替えや特別セッションなども実施している。

取材・文:CLIMBERS編集部
写真:大杉和広
取材協力:Base Camp Tokyo / B-PUMP 荻窪店

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