TEAM au 伊藤ふたばがジャパンカップ2冠!/第2回スピードジャパンカップ

2月22日、第2回スピードジャパンカップ(SJC)がモリパークアウトドアヴィレッジ(東京・昭島)で開催された。SJCは昨年開設された新しい大会で、これまで日本では浸透していなかった同種目を普及・強化していくための施策としても位置付けられている。女子は伊藤ふたばがボルダリングジャパンカップ(BJC)に続く2冠を果たし、男子は楢﨑智亜(TEAM au)が2位表彰台となった。

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この1年で日本勢の平均タイムも伸び、男子では楢崎が持つ6.159秒、女子では野中生萌が持つ8.404秒の日本記録更新にも注目が集まった。

昨年は前日の雪の影響で寒空の中での競技となったが、今年はロープが強風で揺れるなか行われた予選。男子では、昨年大会と比べ平均タイムがアップ。半数以上の選手がコンスタントに7秒台を計測し、日本勢の実力底上げを感じさせられるラウンドとなる。TEAM auの楢崎智亜、藤井快、楢崎明智の3選手は順当に決勝に駒を進めた。女子では唯一8秒台をマークした伊藤が首位で、TEAM au野口啓代も4位で予選を通過した。

予選のタイムレース形式から、16名によるトーナメント戦となる決勝。男子は予選首位通過の前回王者、池田雄大が足をスリップさせて敗れる波乱が起こる。その後もレースは続き、楢崎智亜がセミファイナルで自身の日本記録に迫る今大会最高タイムの6.420秒を出し、決勝進出を決める。勝てば、どちらも単種目のジャパンカップ初優勝となる楢崎と土肥圭太の対戦となったビッグファイナル。出だしはほぼ同時だったが、中盤で楢崎がスリップする痛恨のミス。追い上げも空しく、ほとんどのレースで安定していた土肥がここでも先にゴールまで到達した。敗れた楢崎はBJCから連続の2位。楢崎明智はベスト8、前回王者の藤井はベスト16で敗退となった。

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一方の女子では伊藤、野口、野中の3人に加え、20歳以下の女子日本記録保持者、倉菜々子が順当に勝ち上がり、ベスト4に名を連ねた。セミファイナルでは、まず伊藤と野口のTEAM au対決が実現。スタートでは野口が先行したが、持ちタイムで上回る伊藤が追い抜いてビッグファイナルへの切符を掴むことに成功。もう一つの山では、女子日本記録保持者の野中がスタート時の「トモアスキップ」の際に足を滑らせてしまい、倉に及ばず。まさかの敗退となった。迎えた伊藤と倉の優勝決定戦は、女王を決めるに相応しいデッドヒートに。どちらも大きなミスなく、互角にゴールに迫っていく。わずかに先にゴールパッドを叩いたのは伊藤。この日2度目の8秒台となる8.993秒を計測し、9.157秒で自己ベストを更新した倉を振り切った。安定した登りで好調ぶりを示した伊藤は、これで早くも今季2冠目。2020年シーズンをこれ以上にない形でスタートさせた。

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伊藤ふたば選手 コメント

「スピードの練習はそれほどガッツリとできていたわけではなかったが、盛岡での練習よりも暖かくて体もしっかりと動いた。かなり風が強くてオートビレイ機が横に流れてしまってもいたが、私はそこまで気にならなかった。練習では寒さで8秒台は出ていなかったが、本番で8秒台を2回出せたことは良かった。本番だと集中力も上がるし、大事な大会でしっかりと8秒台が出せたのは自信になる。スピードはトーナメントになるので、緊張感があって苦手意識があるが、今回は勝たなければいけないところで勝つことができたので、今後の自信になった」

野口啓代選手 コメント

「風や寒さもあってあまりタイムは出なかったが、最後まで大きなミスなく安定していたと思う。(風への不安はあったか)プラクティスや予選では気になっていたが、決勝で集中していた時はあまり気にならなかった。(スピードの状態は上がってきている?)踏み外すことが少なくなってきている。一昨日に練習ではあるが約9.2秒で自己ベストを更新することができた。この時期に更新できたので、夏場はもっと更新できると思う。五輪までには8秒台は出せるようにしておきたい。(練習中のトモアスキップは今日はトライせずだったが)昭島の壁は滑りやすいと聞いていたので、少し不安があった。五輪は新品の壁だと思うので、トモアスキップは成功できるのかなと思っている。そうするとタイムもまた変わってくるはず」

楢﨑智亜選手 コメント

「決勝も準決勝までのように安定したタイムを出せば勝てていたと思う。壁を蹴っている感触などからもう少しタイムが出せると思って、6秒台前半の良いタイムを狙っていったら足が滑ってしまった。(中盤の新ムーブ『マルチンスキップ』を試した感触は)マルチンスキップはもう安定していて良い感触だった。スキップをした後に体が左に流れていないので、ずっと真っ直ぐ蹴ることができているのでそこは良かった。前回はみんなもそれほどタイムが出ていなかったけど、今回は少しタイムが速くなっているので、このまま夏はもっと速くなっているはず。夏までに5秒台は出るかなと思っているが、5秒台ギリギリに入るくらいでは五輪本番での自分の順位は変わらないと思う。5秒台が安定して出せるくらいにはなりたい」

楢﨑明智選手 コメント

「風が吹いている時は少しやりづらかったが、気温も高かったので登りやすかった。調子は良かったが、決勝トーナメントで土肥君と当たる時に初っ端から右足が滑ってしまい加速できなかった。(スピードはどのようなテーマを持って練習している?)上部のランジした後のパートの、チモフェーエフ(ロシア人選手)ムーブと、トモアスキップした後に今までは右足を踏むことがなかったが、踏むようにすることを練習してきた。今日は加速もできたので、上部パートの調子は良いと思う。5月のコンバインドジャパンカップまでには、自己ベストを超える6.5秒以上は出しておきたい」

藤井快選手 コメント

「今出せるベストは出せたと思う。決勝では風の影響ではなく、普通に足が滑ってしまった。体も動いていなくて、うまく足が上がっていなかった感じ。ボルダリングジャパンカップ後のトレーニングの疲れが取れていないので、コンディション調整が上手くいかなかった。心的ストレスはあるが、ここが頑張りどころだと思う」

女子決勝

1位:伊藤 ふたば(TEAM au)/8.993秒
2位:倉 菜々子(ウィルスタッフ)/9.157秒
3位:野中 生萌(XFLAG)/9.094秒
4位:野口 啓代(TEAM au)/9.704秒

男子決勝

1位:土肥 圭太(鹿児島県山岳・スポーツクライミング連盟)/6.734秒
2位:楢崎 智亜(TEAM au)/7.328秒
3位:竹田 創(仙台城南高等学校)/6.898秒
4位:今泉 結太(日本ウェルネススポーツ大学)/7.012秒
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6位:楢崎 明智(TEAM au)/7.053秒
16位:藤井 快(TEAM au)/10.613秒

※左から氏名、年齢、所属、記録
※1・2位は決勝(ビックファイナル)、3・4位は3位決定戦(スモールファイナル)、楢崎明智、藤井快は決勝時の記録

取材・文:CLIMBERS編集部
写真:窪田亮

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