TEAM au 伊藤ふたばが3年振り2度目の優勝!/第15回ボルダリングジャパンカップ

2月8~9日、第15回ボルダリングジャパンカップ(BJC)が駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場(東京都・世田谷区)で開催された。女子は伊藤ふたばが3年振り2度目の優勝、2位には野口啓代が入りTEAM auがワンツーフィニッシュを決めた。男子は原田海が初優勝を飾り、TEAM auの楢﨑智亜が2位表彰台となった。

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<男女の入賞者。左から楢﨑智亜、野口啓代、原田海、伊藤ふたば、井上祐二、野中生萌>

BJCは"ボルダリング日本一"を決する国内最高峰の大会で、スポーツクライミングのシーズン開幕戦でもある。15回目となる今大会には男子60名、女子47名が出場。9日に行われた準決勝・決勝のチケットは完売で、会場に詰め掛けた大観衆が熱い声援を送った。BJCはその年の日本代表の選考大会も兼ねており、限られた代表の座を巡る争いでもある。また、この夏での現役引退を表明している野口にとって、BJCは第1回大会からただ一人連続出場をしている思い入れのある特別な大会。有終の美を飾れるか、注目が集まっていた。

8日に行われた予選ではTEAM auの5選手を含めた有力選手が順当に準決勝進出を決めた。翌9日午前、3完登以上が決勝進出ラインとなった女子準決勝では伊藤が躍動。ただ一人の全完登でトップ通過。続いて行われた男子準決勝は、発想力が問われるトリッキーな課題を前に有力選手が次々に敗退する波乱の展開に。昨年優勝の石松大晟が7位に沈み、TEAM auの藤井快、楢﨑明智はそれぞれ11位、12位で準決勝敗退となった。楢﨑智亜は2完登3ゾーンで手堅くまとめて4位でファイナルへと駒を進めた。

迎えた午後、先に行われた女子決勝は表彰台常連の伊藤、野口、野中生萌の3選手に2003年生まれの松藤藍夢(あのん)、森秋彩、谷井菜月の若手3選手が挑む構図となった。勝負を分けたのはスラブ(緩傾斜)のスタートパートが難所となった第3課題。完登者が現れず6番手で登場した伊藤の2トライ目、思い切って繰り出したムーブがピタリと止まり、会場から大歓声が沸き起こる。そのまま最後まで登りきり、ゾーン獲得数の差で首位に躍り出た。迎えた最終第4課題、最終競技者の伊藤は完登できれば優勝、できなければ野口の優勝という場面で、3トライ目に苦戦していたパートを上手く切り抜けると、最後は慎重にムーブを起こし、トップに到達。伊藤は3年ぶり2度目となる女王の座を手にし、2位に野口、3位には野中が入り、表彰台は2年連続で同じ顔触れとなった。

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<最後のBJC。第2課題を完登し大歓声に応える野口>

川又玲瑛、井上祐二、原田、楢崎、小西桂、佐野大輝の6名が進出した男子決勝は誰が勝っても初優勝となるフレッシュな顔ぶれで行われた。1完登で5人が並んで迎えた最終課題、三番手で登場した楢﨑はここぞの場面でパワーを発揮し、3トライ目にTOPを捉える。2完登に到達して暫定首位に立った。直後の原田。ゾーン獲得数で大きなアドバンテージを得ている原田は、完登すれば優勝という状況。1トライ目でゴールまで迫ったが、手前のホールドを捉えきれない。ムーブは理解しているものの、2、3トライ目も失敗し刻々と時間が過ぎ去っていく。しかし4トライ目、ようやく決めきれなかった一手が止まると、一気にTOPまで登りきる。今大会は予選、準決勝、そして決勝と安定して上位に位置し、逆転する勝負強さもみせた原田。最後はホッとした表情もみせて、初優勝の味をかみしめた。「世界王者対決」に敗れる格好となった楢﨑は2位。3位には国内公式戦の初表彰台となった井上が入った。

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<最後まで優勝を争った楢﨑智亜>

伊藤ふたば選手 コメント

2課題目ができなかった時点でかなりよれてしまいましたが、誰も登れなかった3課題目を2撃できたことが一番大きかったです。メッセージにも書いた通り、最後まで諦めないというのを心の中で思っていました。優勝の可能性が残っている中で3課題目が自分の得意系だとは思っていたので、そこをしっかりと決めきれてよかった。最終課題は最初足が上がらなくて焦ってしまいましたが、最後は気持ちで持っていった。登れば優勝というのはわかっていたので、2回落ちてしまった後も、自分を落ち着かせるためにも全力で課題を楽しもうと笑顔で登りました。前回の優勝とは違い、今回はしっかりと実力をつけて優勝することができたと思います。

野口啓代選手 コメント

4本中3本登ることができて、登れた課題に関しては内容も良かったので、優勝できなかったのが悔やまれます。ファイナルに残った選手は若い選手が多かったですが、表彰台に上ったのは例年と変わっていない気がする。若さや体の軽さというのは必要ですが、最終的には体の強さや技術というのも重要になる。終わったばかりで今は悔しいけれど、良い部分もたくさんあったので収穫は多かった。BJCはこれで最後になりますが、まだまだ大会がたくさんあるので一つひとつ糧にして、この先も良いパフォーマンスができればと思います。

楢﨑智亜選手 コメント

BJCは相当モチベーションを燃やさないと勝つのは難しい大会。周りの選手の気合いの入り方を感じていて、そんなに甘くないなと思いました。(優勝した原田)海は一緒に練習していても去年より伸びているなと感じています。元々保持力が強いタイプだけど、それだけじゃなくオールラウンダーになってきているし、勝負所でミスをしなくなってきている。去年のBJC決勝のメンバーが僕だけだったのでびっくりした。日本の上位勢は堅いから(顔ぶれは)変わらないかなと思っていたので刺激を受けました。

藤井快選手 コメント

普通に弱かったと思うので仕方ない。実力が足りなかったというのが今日の反省。調整し切れていなかったというのもあるし、反省するところは色々あった。3連覇した一昨年は12月からBJCに向けてトレーニングしていたが、今回は前々日までしっかりやってという感じだった。国際大会の出場資格を持っているというところで甘さがあった。ただ、そんな中でも単純に実力が出せないという部分があったので力量不足だったと思う。10位よりも下の順位だったので非常に残念です。

楢﨑明智選手 コメント

オフシーズンはコンバインドを意識して練習を積んできました。調子自体は悪くなかったんですが、今日の課題については「どうしたらいいんだろう?」という感じでした。自分ではムーブは読めるほうだと思っていましたが、まったく対応できませんでした。二課題目でゾーンを取れた時に決め切らないとダメでした。勝負強さが足りませんね。次のスピードジャパンカップ、リードジャパンカップでは「優勝」と言いたいところですが、先ずは決勝に残ること。今の自分にできるベストをしっかり出していきたいです。

女子決勝

1位:伊藤 ふたば 3t4z 6 9
2位:野口 啓代 3t3z 4 4
3位:野中 生萌 2t3z 3 3
4位:森 秋彩 2t2z 3 3
5位:谷井 菜月 0t2z 0 3
6位:松藤 藍夢 0t2z 0 6

男子決勝

1位:原田 海 2t4z 5 6
2位:楢﨑 智亜 2t3z 4 3
3位:井上 祐二 1t3z 6 9
4位:川又 玲瑛 1t2z 2 5
5位:小西 桂 1t1z 7 7
6位:佐野 大輝 0t1z 0 6

※決勝成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

取材・文:CLIMBERS編集部
写真:窪田亮

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