ボルダリング上達のコツ!ホールドの基本的な掴み方【後編】

「ガバ」「カチ」「ポケット」という代表的なホールド3種の掴み方を解説した【前編】に続いて、【後編】では「ピンチ」「スローパー」「ハリボテ」の基本的な対処法を紹介。今回もモデルの豊田恭兵さんが、講師役であるジムオーナー兼ルートセッターの岩橋由洋さんに話を伺います。

ピンチ

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岩橋:親指とその他4本の指で両側から挟む持ち方「ピンチ」と同じ呼び名のこのホールド。縦、横、斜めと様々な角度で壁に付けられますが、持ち方の基本は正面に引く形になります。4級レベルの課題から出てきますが、傾斜がない課題や、持ちやすいものであれば初心者向けの課題で使われることもあります。

ピンチはカチやポケットのように引っ掛けるというより、握力を使って掴む形になるので、女性は苦手な人が多く、男性のほうが得意な持ち方と言えます。女性が苦手な理由は手の大きさも関係しています。手が小さいと指がホールドの左右に回らないので持ちづらくなるのです。手が大きい男性はホールドにしっかりと指が掛かるので持ちやすいですね。

豊田:持ちやすいとは思いますが、力をかなり使うのですぐパンプしてしまいそうですね。垂壁だからまだいいですけど、傾斜が大きくなるとピンチで止めるのはけっこう難しそうです。引っ掛ける形の持ち方のほうが個人的に安心感があります。

スローパー

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岩橋:スローパーは指先ではなく、手のひら全体で押さえつける「パーミング」と呼ばれる持ち方で持つホールドになります。ホールドのサイズによっては体全体で押さえる場合もあります。基本的に指は閉めましょう。そのほうが指の力が拡がらず、中央に集中します。ただ、小さなスローパーの場合は指を広げてボールを掴むような形で持つこともあります。

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フリクション(摩擦)を使って押さえつけるように持つのがコツですが、体全体で押さえつけるサイズ感のものだと力も必要になります。そうなると腕の長さや手の大きさ、力の強さの関係で女性よりも男性のほうが得意なホールドと言えます。

豊田:掴むでもなく、指で引っ掛けるわけでもないホールドなので、触った感じはすごく不安ですね。手のひら全体を押さえつける感覚や、フリクションを使う感覚に慣れないと難しそうです。

ハリボテ

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岩橋:一般的に三角形や四角形で、曲面ではなく角ばっているものをハリボテと呼びます。近年はコンペでもよく使われていますね。

ハリボテは手で持ちづらい分、フリクションが効くようになっているので、そのフリクションを使って押さえるという形になります。スローパーに近い感覚になりますが、スローパーよりもさらに持ちどころがないのがハリボテの特徴です。持つというよりも体の向きや体勢で効かせて体を動かしていくイメージになります。

豊田:確かに、普通に掴もうとしても持てないですね。ハリボテの上に乗ったりして、体の向きで持ったところを効かせないといけないというのがよくわかります。

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ハリボテは体の向きで"持つ"イメージを持っておこう。

岩橋:持つ場所がはっきりとしていないハリボテですが、持ち方としては角を「ラップ」で持つケースが多いですね。

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ラップは、手のひら全体で握り込むようにして、腕を内側に絞りながら手の側面を効かせて持つイメージです。体の向きやホールドの付き方によって内側と外側のどちらを効かせるかを使い分けますが、基本は外側の側面を効かせて持つイメージになります。力をあまり使わない楽な持ち方なので初心者にもおすすめですね。ガバでもラップで持つことがあります。手首の可動域が広いとより全体で巻き込めるので、手首が柔らかい人ほど得意としています。TEAM auに所属している楢﨑智亜選手もよくラップを使っています。

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手のひら全体で握り込むようにして、側面を効かせて持つラップ。ガバなど他のホールドで使用される場面も多い。

自分が得意な持ち方を探そう

岩橋:最初はホールドの持ち方はわからないと思いますが、それは誰でも同じことです。そこからクライミングにハマると何度も登ることになり、その中で持ち方も覚えていくものです。また、毎回同じルートを登っていろんな持ち方を試してみることも大切です。持ち方は個人差で得意、不得意があるもので、自分が得意な持ち方というのはいろんな持ち方を試して自分で見つけるしかありません。

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得意な持ち方を把握することで、場面によって"ここはこの持ち方で解決しよう"という自分なりの登り方がわかってきます。クライミングは苦手なことをなくしていくことも大事ですが、得意なことを伸ばしていくことのほうが良い場合が多いです。得意を伸ばすことで苦手をカバーすることもできるというのは、クライミングの面白いところだと思います。初心者の方はまずはたくさん登って、いろんな持ち方を試して、自分に合ったスタイルを見つけてみてください。

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  • 岩橋由洋(いわはし・よしひろ)
    クライミングジムDOGWOOD高津店と調布店のオーナーを務める傍ら、日本山岳・スポーツクライミング協会公認のルートセット資格を持ち、様々な大会のセットで全国を飛び回っている。ホールド事情に精通しており、その収集が趣味。

※掲載内容は2019年11月時点の情報です。

取材・文:篠 幸彦
写真:大杉 和広
撮影協力:DOGWOOD 調布店

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