いよいよ今週末開催!大会を楽しむための観戦ガイド/ au SPEED STARS 2019

12日に開催されるau SPEED STARS 2019 SPEED CLIMBING CUP(東京・昭島)。今週末に迫った大会に向け、本記事では、スピード種目における日本の立ち位置を交えながら、大会方式や注目選手について解説する。

世界に遅れをとっていた日本

日本では、"完登を競う"リード、ボルダリングとは異なり、完登を前提とし、その"速さを競う"スピードは、趣が異なることもあって中々普及が進まなかった。しかし、2017年に昭島のMORIPARK Outdoor Villageに日本初の国際規格を満たすスピード専用ウォールが完成したことを機に、国内でも徐々にではあるが専用ウォールが誕生してきている。

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<写真:森口鉄郎>

専用ウォールが誕生した当初は、日本と世界との差は歴然としていた。国内に練習環境すらなかったために、日本人選手の国際大会本格参戦は皆無。2017年に昭島で専用ウォールこけら落としを兼ねて開催された東京選手権大会では、日本人最高タイムが男子12秒480、女子13秒870だった。当時の世界記録は男子が5秒600、女子が7秒530で、倍近くの差があったのだ。

しかし、約2年が経ち、その差は着実に縮まってきている。2019年5月3日に行われたスピードW杯呉江大会を終えた時点では、日本記録は男子が6秒640、女子が8秒904で、世界記録は男子が5秒480、女子が7秒101。男女ともに世界トップクラスの男子5秒台、女子7秒台にはまだ到達できていないものの、W杯で上位16名が進むことのできる決勝トーナメント進出ラインに迫ってきている。

スピードの大会方式とは

まだスピードの大会に馴染みのない方も多いはずなので、その方式についても説明したい。国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が定めるスピードの大会は、予選と決勝の2ラウンドに分かれている。予選はタイムレース形式で、選手は2本試技を行い、より速いタイムが予選成績として採用される。ここで注意しておかなくてはならないのが、フォルススタート(フライング)や途中落下をしてしまうと、即予選敗退になること。たとえ1本目にミスなく登っていたとしても、2本目に失敗するとその時点で失格となってしまうのだ。

決勝は、予選を勝ち抜いた上位16名によるトーナメント形式で行われる(ただし予選でミスなく有効タイムを記録した選手が16名未満の場合は8名もしくは4名となる)。トーナメントでは、進出人数が16名の場合、予選上位と下位の選手の順位の合計が17となるように組み合わせを決定する(例:1位vs16位)。スピードはスタートする際に左を向くのだが、上位選手は相手が視界に入らない左レーン、下位選手は視界に入る右レーンとなるのも注視したいポイントだ。トーナメントでは、いくらタイムが遅くても対峙した選手より先にゴールパッドを叩けば勝利となる。そしてベスト4の勝者が決勝戦、敗者が3位決定戦に回り、最終順位を決定する。IFSC公認であるau SPEED STARSは、以上の大会ルールに乗っ取り開催される。

世界トップレベルの"速さ"を目撃せよ。

今大会にも、前週のスピードW杯第3戦、呉江大会で優勝したドミトリー・チモフェーエフをはじめ、世界トップクラスの選手たちがやってくるため、選手たちのコンディションも悪くないはず。新たな世界記録の誕生にも期待が高まる。

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<写真:森口鉄郎>

結果が分かりやすい視認性の高さ、息を抜けない最速5秒台での決着、短いタイムの中での逆転、再逆転といったドラマ性。これらスピード特有の魅力も踏まえつつ、日本人選手がどこまで上位に食い込めるかにも注目していきたい。

出場予定選手一覧

<男子注目選手>

  • prof_man01_Timofeev.jpg<写真:Eddie Fowke-IFSC>
  • ドミトリー・チモフェーエフ(RUS)/世界ランキング3位
    強国ロシアをけん引する世界3位。直前のW杯呉江大会では4度目の頂点に。
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  • スタニスラフ・ココリン(RUS)/世界ランキング10位
    W杯を10度制した昨年大会王者。世界選手権2018では銅メダルに輝く。
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  • 楢﨑 智亜/世界ランキング52位
    世界各国のスピードクライマーにも影響を与えた「トモアスキップ」を考案。
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  • 藤井 快
    直前のW杯重慶大会で6秒620をマークし、日本記録を更新。
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  • 池田雄大
    日本スピード界の先駆者であり、初代国内王者。楢﨑智亜、野口啓代のコーチも務める。

<その他出場予定選手>
アレクサンダー・シロフ(RUS)/5位
ルドヴィコ・フォッサリ(ITA)/7位
マーチン・ジンスキ(POL)/15位
楢﨑 明智
原田 海
緒方 良行
田中 修太
今泉 結太
抜井 亮瑛
竹田 創
石松 大晟

<女子注目選手>

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  • アンナ・ブロジェク(POL)/5位
    昨年の世界選手権で銀メダルに輝いた優勝候補の本命。
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  • アンナ・ツィガノヴァ(RUS)/6位
    第1回大会覇者で世界選手権2016女王。今シーズンのW杯でも4位が2度と好調。
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  • 野口 啓代
    4月26日のW杯重慶大会で自身初の9秒台となる9秒694をマーク。
  • prof_woman04_Ito.jpg
  • 伊藤 ふたば
    スピードジャパンカップ2位。17歳にして国内2位の自己ベストを持つ。

<その他出場予定選手>
エレナ・チモフェーエヴァ(RUS)/7位
エレナ・レミゾワ(RUS)/8位
ヴィクトワール・アンドリエ(FRA)/9位
野中 生萌
中村 真緒
森 秋彩
倉 菜々子

※左から選手、国籍、世界ランキング(2018シーズン終了時)
※出場予定選手は5月7日時点。

文:CLIMBERS編集部
写真:窪田亮、トップ/©2019 MORIPARK Outdoor Village

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