楢﨑智亜が1年ぶりの金メダル、野口啓代も2戦連続2位/ボルダリングW杯2019第3戦 重慶大会・第4戦 呉江大会

ボルダリングW杯2019は今シーズンの中盤となる中国2連戦が4月27・28日に重慶で(第3戦)、5月4・5日に呉江(第4戦)で開催された。2週続けて行われた大会で、TEAM auの楢﨑智亜と野口啓代が躍動した。楢﨑は、第3戦でゾーンのアテンプト1差という僅差で敗れ惜しくも2位となったが、続く第4戦では圧巻の登りで昨年モスクワ大会以来となるW杯4度目の優勝。野口はスロベニアのヤンヤ・ガンブレットに開幕4連勝を許したものの、最後まで競い、2戦連続で2位に入った。

スピードのW杯も同地で開催され、第2戦重慶大会ではTEAM au藤井快が日本新記録となる6秒620をマーク。野口は自信初の9秒台となる9秒694を記録した。

第3戦重慶大会

先に行われた男子決勝。日本勢からは、楢﨑と藤井が進出した。出発直前に風邪を引いたという楢﨑だったが、力強い登りで第1、第2課題を連続完登。同じく2連続完登したフランスのマニュエル・コルニュに、第2課題を一撃した楢﨑が僅差でリードをつける。しかし、第3課題で楢﨑は既定のスタートポジションをとることができずにやり直しを求められてしまう。実質1トライ目となった2トライ目は軽々と完登したため、惜しまれるトライとなった。これでコルニュと楢﨑は3完登3ゾーンで並んだが、ゾーンのアテンプト1差でコルニュが逆転で首位に立った。

最終課題は、ゾーン獲得前後のムーブで体力を消耗していく難関に多くのクライマーが苦戦。先に登るコルニュは1トライ目でゾーンに到達するもそこから攻略できずに終える。完登できれば優勝というチャンスが回ってきた楢﨑だったが、足場の悪いハリボテとゾーンのスローパーに苦戦し、完登できずにタイムアップ。コルニュの参戦5年目でのW杯初優勝が決まった。結果的に第3課題のスタートミスが大きく響いた楢﨑だが、体調が万全ではない中での準優勝。藤井は2完登4ゾーンを記録したが6位に終わった。TEAM au楢﨑明智は23位で予選敗退となった。

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<写真:窪田美和子/アフロ>

続く女子決勝には、モスクワ大会を国内調整で回避した野口と、同じくTEAM auの伊藤ふたばが2大会連続で進出を果たした。今大会でも、開幕戦で1、2位だったガンブレットと野口が優勝を争う形となり、第3課題を終えて全完登はこの2人のみ。完登数のアテンプト差1でわずかにガンブレットがリードした。

2人の接戦で迎えた最後の関門は、パワーが求められる強傾斜課題となった。先に登る野口だったが、真上に飛ぶスタートのダブルダイノを中々止められずに5トライを重ね、最後は完登したものの笑顔はなかった。そしてガンブレットは2トライ目で完登し、圧倒的な強さで開幕から3連勝を飾った。伊藤は1完登ながら自己最高の5位となった。

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<写真:窪田美和子/アフロ>

第4戦呉江大会

先に行われた女子決勝には、野口、森秋彩と、W杯開幕前の怪我から復帰した野中生萌が進出した。勝負の分かれ目は第2課題となる。第1課題を一撃した野口がややリードを奪って迎えたこの課題は、ゾーン後のムーブに苦戦する選手が続出。しかし最後のガンブレットがこれを一撃し、唯一2完登で抜け出すことに成功する。

第3課題で野口は2つ目の一撃を記録し追走するが、ガンブレットも一撃で寄せ付けない。最終課題でも野口が2トライで登り切るが、ガンブレットが3つ目の一撃を記録し、予選からの全課題完登で開幕4連勝に輝いた。

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男子決勝には楢﨑と藤井に加え、原田海と初のW杯決勝となる土肥圭太が進出した。難関課題が続く中、安定した登りで違いを見せたのが楢﨑だった。第1課題をただ1人完登すると、第2、第3課題も連続完登。最終課題こそ完登はならなかったものの、彼独特の素早いムーブで観客を魅了し続けた楢﨑が、最後まで優位を保って約1年ぶりとなるW杯優勝を飾った。2位にはW杯自身初のメダル獲得となった世界選手権王者の原田が入り、土肥が4位、藤井は5位入賞となった。楢﨑明智は予選5課題を全完登し首位通過したが、準決勝で敗退し、17位に終わっている。

第5戦は5月18・19日にドイツ・ミュンヘンで開催される。

<楢﨑智亜選手 コメント>
やっとやっと優勝できました。シルバーコレクターの印象がついてしまうのではないかと思うくらい2位が続いていたので、自分のクライミングにも改めて自信を持つことが出来ました。重慶の前は体調を崩し、出場予定だったスピードをキャンセルしボルダリングに集中したので結果2位でしたが、なにかスッキリしないものがありました。呉江大会では体の感覚もよかったのでイメージ通りのクライミングが出来ました。次のミュンヘン大会をスキップするので年間優勝争いが出来るかどうかまだはっきり分かりませんが最終戦で年間争いが出来るなら、自分の力を出し切って3シーズンぶりの年間王者を獲りにいきたいです。

<野口啓代選手 コメント>
今年2月のスピードジャパンカップ後から同大会男子初代王者の池田雄大選手にスピードコーチとして就任してもらい、地元龍ヶ崎で練習を重ねてきました。今シーズン初のスピードW杯重慶大会でその成果が自己ベスト「9.694」という形で出たことは本当にうれしかったです。まだまだ成長段階ですが、タイムを縮められる伸びしろを感じているので、今後もトレーニング、実践を繰り返していきたいです。ボルダリングは重慶、呉江大会とも2位でしたが、特に呉江大会では自分らしく予選から決勝まで集中して登ることが出来ました。今回は同郷茨城の森選手も一緒に表彰台に上がることが出来てとても感慨深い大会でした。ボルダリングW杯は来月の最終戦(第6戦ベイル大会)が最後の出場になりますが、今からとても楽しみで仕方ありません。しっかりと準備をして臨みたいと思います。しばらく国内大会が続きますが、気持ちを切り替えてコンバンドジャパンカップに向けて調整していきます。応援ありがとうございました。

<伊藤ふたば選手 コメント>
重慶大会はモスクワ大会に続き2大会連続で決勝に残ることが出来たのですが、決勝で戦うトップ選手との差を感じる大会でした。呉江大会では準決勝でアテンプト差の7位で決勝にいけませんでした。1トライ1トライの重要性を改めて感じ、他の選手が登れる完登率が高い課題を取りこぼさないことなど課題の多い大会でした。大会でしか出来ない経験が沢山あるので、次の大会にしっかりと生かしていきたいです。

<藤井快選手 コメント>
第3戦重慶、第4戦呉江でのスピードはパーソナルベストを含めて安定したタイムを出すことができました。しかし、今まで練習では6秒台を出すことが出来ませんでした。試合前は不安でしたが、6.6秒を2度出すことが出来たことで、今までのトレーニングの成果を感じることが出来ました。
ボルダーでは、どちらも上位で準決勝を通過したものの、決勝でのパフォーマンスは納得のいくものではありませんでした。決勝へ進出することが出来ていても、そこから崩れてしまうことが2度も続いてしまいました。しかし、準決勝の内容は良く、最後まで諦めずにトライした結果、決勝へ進むことが出来た事は成長を感じます。次の大会では予選から決勝まで安定したメンタル、内容で臨めるように精進したいと思います。
応援ありがとうございました。

第3戦 重慶大会

<ボルダリング男子>
1位:マニュエル・コルニュ(FRA)/3t4z 5 5
2位:楢﨑 智亜/3t4z 5 6
3位:アンゼ・ペハルク(SLO)/3t4z 10 10
4位:サッシャ・レーマン(SUI)/2t4z 3 10
5位:アレクセイ・ルブツォフ(RUS)/2t4z 4 11
6位:藤井 快/2t4z 7 9
―――――
23位:楢﨑 明智

<ボルダリング女子>
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/4t4z 8 6
2位:野口 啓代/4t4z 12 9
3位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/3t4z 8 11
4位:ペトラ・クリングラー(SUI)/1t3z 2 8
5位:伊藤 ふたば/1t2z 1 4
6位:カーチャ・カディッチ(SLO)/0t4z 0 10

<スピード男子>
1位:アルフィアン・ムハンマド(INA)/5秒970
2位:コスティアンティン・パウレンコ(UKR)/6秒315
3位:セルゲイ・ルキン(RUS)/6秒808
―――――
24位:藤井 快/6秒620 ※日本新
30位:楢﨑 明智/6秒926

<スピード女子>
1位:ソン・イリン(CHN)/7秒673
2位:アレクサンドラ・ルジンスカ(POL)/fall
3位:ユリヤ・カプリナ(RUS)/8秒429
―――――
30位:野口 啓代/9秒694
38位:伊藤 ふたば/10秒094

第4戦 呉江大会

<ボルダリング男子>
1位:楢﨑 智亜/3t4z 7 8
2位:原田 海/3t4z 7 13
3位:ヤコブ・シューベルト(AUT)/1t4z 2 9 ※準決勝4位
4位:土肥 圭太/1t4z 2 9 ※準決勝6位
5位:藤井 快/1t4z 3 18
6位:ヤン・ホイヤー(GER)/1t3z 9 11
―――――
17位:楢﨑 明智

<ボルダリング女子>
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/4t4z 5 4
2位:野口 啓代/3t4z 4 5
3位:森 秋彩/3t4z 11 9
4位:野中 生萌/2t4z 4 7
5位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/2t4z 6 7
6位:ジュリア・シャノーディ(FRA)/0t2z 0 2
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7位:伊藤 ふたば ※準決勝進出

<スピード男子>
1位:ドミトリー・チモフェーエフ(RUS)/5秒597
2位:バッサ・マエム(FRA)/5秒810
3位:ルドヴィコ・フォッサリ(ITA)/5秒856
―――――
27位:藤井 快/6秒644
36位:楢﨑 明智/7秒094
54位:楢﨑 智亜/7秒798

<スピード女子>
1位:アレクサンドラ・ルジンスカ(POL)/7秒313
2位:エリーズ・スーザンティ・ラハユ(INA)/7秒607
3位:アヌーク・ジョベール(FRA)/7秒516
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34位:野口 啓代/9秒919

※左から氏名、所属国、成績
※ボルダリングの成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数
※スピードの1・2位選手の成績は決勝タイム、3位選手の成績は3位決定戦タイム

取材・文:CLIMBERS編集部
写真:藤枝隆介

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