初心者が『ボルダリング検定』5級合格を目指す、密着ドキュメント【第6回】

まったくのボルダリング初心者が、日本クライミングジム連盟主催の技能検定『ボルダリング検定』で5級合格を目指す――。今年2月に名古屋で開催される検定会に挑戦するのは、キックボクシングが趣味でスポーツ万能の豊田恭兵さん(27歳)と、映画とゲームが好きで普段スポーツは一切しないという葉月蓮さん(23歳)のモデル2人だ。彼らの歩みを追う連載の最終回は緊張感あふれる検定本番の模様をお届けします。

いよいよ始まるボルダリング検定

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2月16日(土)、約4ヶ月に渡って練習を重ねてきた豊田さんと葉月さんもついに検定本番を迎えました。会場となったのは「プレイマウンテン名古屋IC店」(愛知県・名古屋市)。広々としたジムに独特な丸みを帯びた自然岩の風合いを再現した壁が並びます。会場入りすると、受検者たちから課題が見えないようにシートが張り巡らされ、検定ならではの雰囲気が漂います。ボルダリング検定5級は用意された5課題のうち、3課題を完登できればブロンズ、4課題を完登できればシルバー、5課題全部を完登できればゴールドの認定がもらえます。2人が目指すのはまずは合格の最低ラインとなる3完登のブロンズ。お揃いのTEAM auオリジナルTシャツにゼッケンを貼り付け、いよいよ本番開始。60分間のセッションがスタートします。

検定の洗礼か。緊張でいつもの動きが出てこない

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<最初に挑んだ課題ではフットホールドに苦戦>

前回の伊東コーチのレッスン後から練習量を増やし、ホームジムでは5級課題を完登できるようになり自信を深めた豊田さん。意気揚々と臨んだ1番目の課題でいきなりスタートポジションを間違えてしまいます。検定が始まって一気に緊張が襲ってきたようです。なんとかスタートは切れたものの、そのあとのムーブがわからずに落ちてしまいました。続く葉月さんは問題なくスタートを切りましたが、すぐに足を滑らせてしまい、こちらも緊張を隠せない様子。その後、解決方法を話し合いながらしばらくこの1番目のトライを続けますが、2人ともフットホールドのハリボテをうまく捉えられず、連続して足を滑らせてしまいます。なかなかムーブが見えてこない1番目の課題を一旦離れ、2番目の課題へ向かいます。

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<2人でオブザベーションし登りを確認>

得意の課題で一撃完登!

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<傾斜のきつい2番目の課題に挑戦>

1番目よりもやや壁が傾斜し、強度の高い課題です。ここでも豊田さんが先陣を切ります。スタート直後の動きに手こずりますが、粘り強く切り抜けるとなんと一撃!嫌な流れを断ち切る見事な完登です。豊田さんのナイストライに続きたい葉月さんですが、スタート直後のホールドをうまく保持できず苦戦が続きます。4度トライしますが、スタートから先に進むのが難しく、次の課題に移ることにしました。

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<2番目の課題を一撃しガッツポーズの豊田さん>

連続一撃!合格は目の前かと思われたが...

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<5級5番目の課題>

次に向ったのは5番目の課題で、壁がV字のような形状になっています。今度は葉月さんが先に挑戦しますが、スタート後の曲がった先にあるホールドの捉え方がわからず落ちてしまいます。オブザベーション不足が響いた結果でした。それを踏まえて豊田さんのチャレンジ。先ほどの一撃で緊張もほぐれたのか足をうまく使いながら曲がった壁の横移動をクリアすると、スローパーもしっかりと掴んでゴール手前まで迫ります。しかし、やや遠いゴールホールドになかなか手が伸びません。それでも周りの受験者たちからの「ガンバ!」の声を聞くと、意を決して思い切り左手を伸ばし、がっちりとゴールを掴んで連続の一撃!2完登の豊田さんはあと1完登すればブロンズ認定がもらえます。この時点で残り時間はあと30分。

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<声援を受け連続一撃で2完登の豊田さん>

一方、まずは1つを完登したい葉月さん。豊田さんの完登に刺激を受けて、5番目の課題に再チャレンジ。前のトライで落ちた横移動をクリアすると、こんどは上のスローパーに手を伸ばしますが、掴みきれずにフォール。それでもここまでの課題で一番手応えを感じた葉月さんは、まずはこの課題の完登を目指すことにしました。

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<豊田さんにアドバイスをもらいながら挑む葉月さん>

合格まであと一手。時間との闘いが始まる

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<豊田さんが合格をかけて選んだ4番目の課題>

合格まで残り1完投の豊田さんは4番目の課題に移動。勢いに乗り2度目のトライでゴールホールド目前まで到達します。足場の悪い大きなホールドに立ち上がり、ゴールホールドに手を伸ばしますが、触りながらも掴むことができません。合格まであと一手まで迫って、残り時間は20分。慌てずにチャレンジすれば十分に完登が狙える時間が残っています。ゴールホールドの感触を忘れないうちに再トライしますが、焦りからか体がうまく動かずスタートポジションで落下。トライ数もかなり重なり、疲労も溜まっていきます。

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<合格へのゴール獲りに苦戦する豊田さん>

検定終了。2人のチャレンジの結果は?

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<完登目指し最後まで挑戦する2人>

豊田さんは短い休憩を挟んで再トライ。ゴール手前までのムーブは掴んでいるだけに、あと少しで完登が見えるはず。しかし、焦りと疲労でうまくいっていたムーブも失敗が続きます。残り30秒の最終トライ。周りから「落ち着いて!」と声が掛かり、慎重にスタートするも体を支えきれず無念のフォール。一方、5番目の課題にトライし続ける葉月さんもスタート後の横移動のコツは掴めているものの、だいぶ疲労が溜まってきている様子。それでも最後まで諦めずにトライを続けます。

終了のブザーが鳴り、2人の5級検定のチャレンジが終了しました。豊田さんは合格までのあと1完登が遠く、葉月さんは1完登を記録することが叶いませんでした。

ボルダリング検定を終えて

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悔し涙を流した葉月さんは「もう一回やりたいです!」と悔しさいっぱいの開口一番。「頭でわかっていてもうまくいかなかったですね。今まで色んな方に教えてもらったことを本番1回で出し切るというのが、検定って本当に難しいなと思いました。連載記事を読んでくれていた女の子が話しかけてくれて、仲良くなりました。その子も熱心にアドバイスしてくれたんですが足がついていかなくて...ほんと悔しいです」とゼロ完登に終わった悔しさからついて出るのは反省の言葉です。

合格まであと1完登だった豊田さん。「悔しいです!最初はすごく緊張して足も滑ったりして、時計を見るたびに焦っちゃいました。でも2番目の課題を完登できてようやく緊張がほぐれました。5番目の課題も一撃で登れて、リズムに乗ってきたなと思ったんですが...。序盤にちょっと時間を掛けすぎてしまって、4番目の課題にトライする頃には腕の疲労が溜まってしまいました」豊田さんも悔しさを滲ませながら、最後まで登れなかった課題を見つめていました。

「難しい」だから「楽しい」。自分なりの到達点を見つけてほしい

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<第2回の連載でもアドバイスをもらったボルダリング検定委員長の山森さん>

ボルダリング検定の検定委員長の山森政之さんからも2人へメッセージをいただきました。「今回は厳しい結果でしたが、このように難しいのがボルダリングです。でも、難しいぶん登れたときは最高に嬉しいんですよね。それが魅力なので今後も続けて、自分なりの到達点を見つけてもらいたいです。悔しさはあるでしょうけど、なにより今回検定を受けて楽しいと思ってもらえたのが一番だと思います」

そして2人のボルダリング検定5級のチャレンジもエンディングを迎えます。この4ヶ月についてそれぞれ振り返ってもらいました。葉月さんは「短い期間でしたが、とても充実した時間でした。この4ヶ月は本当に楽しかったです」と最後は笑顔とともに振り返り、豊田さんは「完全にハマったので今後も続けていきます。5級だけじゃなくて、4級、3級とさらに上の級も合格できるように頑張りたいと思います」と、今回のチャレンジを糧にさらに上を目指すモチベーションが芽生えたようです。

残念ながら不合格となりましたが、ボルダリングの難しさと同時に楽しさを知ることができたチャレンジとなりました。日本を代表するトップクライマー、コーチなどさまざまな方からレッスンを受けて、ボルダリングについてたくさんのことを学んできました。そんな2人の姿を通して初心者の方だけでなく、経験者の方もなにか感じることがあったかもしれません。この連載をきっかけにボルダリング検定に興味を持たれた方は、ぜひチャレンジしてみてください!

ボルダリング検定の公式HPはこちら
http://www.jcga.co/bouldering.html

プレイマウンテン名古屋IC店の公式HPはこちら
http://playmountain.co.jp/nagoya/

取材・文:篠 幸彦
写真:森口 鉄郎
撮影協力:プレイマウンテン名古屋IC店

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