BJCで公式大会初導入!「自由視点映像」ってなんだ?

1月26~27日に開催された第14回ボルダリングジャパンカップ(BJC)。TEAM auからは4選手が決勝に進出し、女子では野口啓代が2位、伊藤ふたばが3位、男子では楢﨑智亜が2位、藤井快が6位に入るなど、ボルダリング日本一の座を懸けた大会を最後まで盛り上げた。そして満員の観客が日本最高峰のクライミングに熱狂したその会場で、スポーツクライミングの公式大会では初めて導入されたのが、KDDIが開発した新たな映像システム「自由視点映像」だ。

臨場感のある映像を自分の見たい角度から

今回、新たな試みとして準決勝・決勝で導入された「自由視点映像」は、クライミングの競技映像をスマートフォンやタブレットを使って自由に動かし、自分が見たい角度からトップクライマーたちの登りを観戦できる画期的な映像システムだ。今大会ではTEAM auに所属する野口啓代、伊藤ふたば、藤井快、楢﨑智亜、楢﨑明智の5選手の映像がリプレイ配信された。当日は会場にこの最新の映像体験を楽しむことができる特別ブースも設置。さらに会場に来られなかったファンも、自分の端末から自由視点映像を通して白熱した大会の模様を観戦できた。

まずは実際の映像をご覧いただきたい。

ジャパンカップ セミファイナル
楢崎智亜 (完登)

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ジャパンカップ セミファイナル
伊藤ふたば (完登)

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ジャパンカップ セミファイナル
楢崎明智

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ジャパンカップ セミファイナル
野口啓代

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16台のカメラ映像と最新技術で実現する新たな観戦スタイル

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このように従来の単一視点による中継映像とは違い、正面からはもちろん、左右に映像を自在に動かすことができ、会場にいても見られない角度から選手の登りを見ることが可能だ。では、この「自由視点映像」がどのようなシステムによって実現されているのかを紹介しよう。今回、BJCの会場となった駒沢オリンピック公園総合運動場室内球技場のアリーナには16台のカメラが設置され、あらゆる角度から選手たちが撮影されていた。その映像は瞬時に「タイムスライス自由視点」というシステムで処理され、一つの映像に合成される。そしてその映像が観客のPCやタブレット、スマートフォンに届けられる。観客はその映像を操作し、自由に視点を動かして思いのままに観戦できるというわけだ。

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自由視点映像の導入により、これまで表面的にしか見られなかった選手たちの登りを多角的に見ることが可能になった。例えば壁の角度やホールドの形、大きさなど、クライミングにとって重要な要素が手に取るようにわかる。こうした情報は単一視点ではどうしてもわかりづらく、「もっと違った角度から見たい!」とやきもきしていた視聴者も少なくないはずだ。壁やホールドの情報をより多く得られることで、勝敗を分ける一手を今まで以上に手に汗握りながら観戦できるだろう。

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<BJC会場で自由視点映像を体験する観戦者>

もちろん、自由視点映像はこうしたコアなファンだけが楽しめるサービスではない。あまりクライミングに詳しくないという視聴者でも、好きなように映像を動かしながら「こんなに壁って傾斜しているんだ」「このホールドはこんな形になっていたんだ」など、様々なことを発見できるはずだ。また選手にとっても、自分の登りを詳細な映像で確認できれば、これまでより高い精度でフィードバックを得られる。今まで気づかなかった視点を提供することで、トップ選手たちのレベルアップの手助けとなることだろう。

2019年のスポーツクライミング世界選手権を8月に控え、いっそう盛り上がるクライミングシーン。自由視点映像という観戦スタイルの誕生によって、ファンはより多様な楽しみ方を、選手は技術向上の新たなツールを手に入れることになった。公式大会の会場で初配信という第一歩を踏んだ、自由視点のさらなる進化が楽しみだ。

取材・文:篠 幸彦
写真:大杉和広

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