BJCは"俺の大会"。狙うはもちろん4連覇/藤井快 独占インタビュー

1月26、27日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で、第14回ボルダリングジャパンカップ(BJC)が開催される。ワールドカップで活躍するシニア選手と成長著しいユース選手が入り混じって"ボルダリング日本一"を決する戦いは、スポーツクライミング界の新シーズン到来を告げる風物詩だ。

このBJCで現在、3連覇中なのがTEAM auの藤井快。男子では前人未到の快挙を続ける26歳に、昨シーズンの振り返りと4連覇がかかる今大会への意気込みを語ってもらった。

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一番の収穫は、世界選手権コンバインド決勝

2018年のボルダリング・ワールドカップは年間6位、重慶大会(中国/5月)では優勝も果たしました。振り返ると、どんなシーズンでしたか?

「シーズン全体で見ると、ワールドカップの決勝進出率が近年の中では一番悪かったんですね。それが悔しいという思いがありつつ、重慶の優勝で目標の最低ラインはクリアできました」

決勝進出を逃すことが多かった理由をどう感じていますか?

「1年を通して最後の最後で決めきれないというか、ゴールで落ちてしまったり、動き自体はできないことはないのに登れなかったり、そういうことが多かったですね。勝負どころでの弱さを感じました」

それはコンディションやメンタルなどに問題があったのでしょうか?

「勝負どころでの焦り、体力的な不足、最後の足場で滑るなど、いろいろありました。シーズンの序盤は特にそうで、ミスを自分で誘発している部分がありました」

シーズン中に気持ちの切り替えや修正をすることは難しいものですか?

「シーズンが始まると肉体的な改革や修正は難しくなりますよね。1日で変われるとしたら、メンタルの面しかない。それを変えること自体は凄く難しいわけではないですし、メンタル面のセルフコントロールの重要性をより強く感じました」

2018年は9月に世界選手権も行われ、藤井選手はスピード36位、ボルダリング5位、リード27位、コンバインド6位という成績でした。

「10日間という長期の日程を初めて経験した大会でした。今までは長くても4日とかでしたので、コンディショニングやトレーニング、食事の面は気にしていましたね。最後の方はうまく調整ができ、ボルダリングで決勝まで行けて、コンバインドも(決勝進出の6人に)残れました。尻上がりに良くなっていったことはポジティブに捉えたいです。長期の大会でもうまくプランニングできたので、今年の東京での世界選手権に向けて良いシミュレーションができたと思います」

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<2018年世界選手権コンバインド決勝(ボルダリング)> 写真/窪田亮
3種目複合のコンバインドは、コンバイドジャパンカップ、アジア競技大会、世界選手権、アジア選手権とまだ4回しか大会で経験していない種目ですが、世界選手権での印象はいかがでした?

「コンバインドの流れ自体はわかっていましたが、世界選手権はよりタイトに感じました。競技の間に30分しか休憩がなく、スピードとボルダーでは思ったより疲労は感じなかったものの、(最後に行われる)リードの時には疲労感が凄くあって、実際の登りにも影響がありました」

かなり忙しいシーズンだったと思いますが、その中で得た収穫は?

「一番は世界選手権でコンバインド決勝に残れて、経験できたことが大きな収穫でした。そこで得た経験をもとに今年の世界選手権に向けてアプローチしていきます」

具体的にはどのようなことを考えていますか?

「最終種目のリードは、強い選手が結果を出しやすくミスをしにくい競技です。逆にスピードやボルダリングは、どんな強い選手でも1つのミスで負けてしまう瞬間というのがあります。スピードとボルダリングで結果を出すことは当然ですけど、なにより一番結果を出しやすいリードに対してのアプローチをしなければいけないと感じました。今年はボルダリングよりも比重を置いてトレーニングしようと思っています」

BJCは俺の大会。まだまだ若手には負けられない

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<BJC2018決勝> 写真/窪田亮
藤井選手にとってBJCとはどんな大会ですか?

「特別な大会ですね。2連覇を決めた時は、そこに対してそこまでフォーカスしていたわけではなく、良いパフォーマンスだったという手ごたえもありませんでした。でも3連覇の時は、自分の力で優勝を掴み取ったという感覚がありました。嬉しかったですし、万全の準備をして全ラウンド1位で優勝できたことには安堵感も大きかったですね」

3連覇したことで、より思い入れの強い大会になった?

「そうですね。3連覇は(男子で)僕以外まだいないし、初めて勝ちにいって勝てた大会でもあります。また、1月に開催されるのでその年のシーズンを占う大会でもあると思います。最近ではワールドカップの日本代表選考大会というイメージも強くなっています。タイトルを獲りにいくというより、代表権を獲りにいくという感覚がありますね。もちろん、選手はみんな優勝したいと思っているんですけど、少し大会のイメージが変わってきていると感じています」

選考大会の色合いが強くなってきていることで、独特の緊張感や空気感はありますか?

「ありますね。リードと違って、ボルダリングは強い選手であってもドツボに陥りやすいというか、ミスをしてメンタルが落ちた時に立て直すのが苦手な選手がいると思います。逆にハマってしまえば勝てる選手もいると思いますし、メンタル要素の強い種目です」

予選の緊張感は特に高いように感じられます。

「やはり予選を通過して準決勝に残らないと代表権の争いはできないので、予選の緊張感は凄いですね。特に前年に代表権を獲れなかった選手から、"今年は絶対に獲る"というピリピリした空気をひしひしと感じます。ここで代表権が獲れないと、クライマーとしての1年間のスケジュールが丸々変わってしまうためみんな必死に挑んできますし、生半可な気持ちでは戦えません」

3連覇直後のインタビューでは、あまりプレッシャーなくやれたというお話をされていました。

「決勝に残った時は、あとはもう何位でもいいかなという感じでした。結局、自分のベストを尽くすだけですから。人の結果を自分が操作できる競技ではないので、とにかくベストを尽くす。決勝はけっこうリラックスして臨めたのかなと思います」

今大会でライバルになりそうな選手は?

「全員でしょうね(笑)。本当に誰が勝っても驚かないくらい、日本には強い選手が集まっています。例えば、昨年はその後の世界選手権で優勝する原田海選手も決勝に残りましたが、それが彼にとって初めての決勝進出でしたし、緒方良行選手も強い選手ですけど、まだBJCでは決勝に出たことがない。ワールドカップで活躍している選手でもBJCのファイナリスト6人に入ることは大変なんです。若手だからとかベテランだからとかはまったく関係ない。それこそ勝負は時の運ですね」

あらためて今大会の目標を教えてください。

「優勝しかないです。もちろん絶対に勝つつもりでいます。最近は若い子の勢いがありますけど、『まだまだ、この大会は俺の大会だ』と。そう簡単に譲るつもりはありませんよ」

最後に、ファンの方々に向けてメッセージをお願いします。

「支えてくださる方々のおかげで競技ができているので、感謝しかありません。その気持ちを力に、この大事なシーズンを戦いたいと思います。応援よろしくお願いします」

いよいよ今週末に迫ったボルダリングジャパンカップ。今大会もその中心を担うのはTEAM auの選手たちだ。男子では現王者の藤井快に加え、楢崎明智が虎視眈々と優勝を狙う。前回大会を競技開始直前の怪我で棄権した19歳は、昨年アジア選手権においてボルダリングとコンバインドで2冠を達成した。大きく成長した姿で1年前のリベンジを期す。そこに楢崎智亜、世界選手権王者の原田海など、群雄割拠の様相がさらに色濃くなった男子の戦いは目が離せない。

女子の最注目選手は、現女王の野口啓代と昨季ボルダリング・ワールドカップ年間王者の野中生萌で間違いない。しかし、その2トップも安泰ではないのだ。第12回大会優勝の伊藤ふたば、昨年2位の森秋彩はもちろん、世界ユース選手権を制した谷井菜月、アジア選手権でメダルを獲得した倉菜々子や菊地咲希ら、成長著しい多くの若手が女王の座を脅かす。男子に引けを取らない熾烈な争いが繰り広げられるだろう。

第14回ボルダリングジャパン 競技スケジュール

1/26(土) 9:30~女子予選 14:30~男子予選
1/27(日) 9:30~男女準決勝 14:00~女子決勝 15:57~男子決勝

詳細は大会公式サイトをご確認ください。
https://www.jma-climbing.org/competition/2019/bjc/

インタビュー・文:篠幸彦
写真:森口鉄郎
撮影協力:B-PUMP 荻窪店

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