初心者が『ボルダリング検定』5級合格を目指す、密着ドキュメント 【第4回】

まったくのボルダリング初心者が、日本クライミングジム連盟主催の技能検定『ボルダリング検定』で5級合格を目指す――。今年2月に名古屋で開催される検定会に挑戦するのは、キックボクシングが趣味でスポーツ万能の豊田恭兵さん(27歳)と、映画とゲームが好きで普段スポーツは一切しないという葉月蓮さん(23歳)のモデル2人だ。彼らの歩みを追う連載の第4回は、TEAM auメンバーの野口啓代選手による、特別レッスンの模様をお届けします。

ボルダリング女王からの貴重な直接レッスン!

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傾斜のきつい5級課題にチャレンジ

会場となったのは、綱島駅から徒歩2分という好立地にあり、昨年8月にオープンしたばかりのジム「ディーボルダリング綱島」(神奈川県横浜市)です。今回、野口選手からマンツーマンレッスンを受ける豊田さんは、週2回以上のペースでジムに通い、ホームジムでは5級課題もクリアできるまで成長を遂げました。

ボルダリングワールドカップ優勝通算21回を誇るクライミング界のレジェンドに直接指導してもらえるとあって興奮を隠せない豊田さん。野口選手が見守る中、さっそくディーボルダリング綱島の5級課題にチャレンジしますが......これにはまったく歯が立ちません。「5級から3級の課題はジムによって難易度の幅があります。この課題はちょっと難しいですね」と出端をくじかれた豊田さんを優しく慰めてくれる野口選手。ここから本格的なレッスンのスタートです。

あらためて豊田さんの登りをチェックしていきます。6級課題まではスムーズに完登できることを確認すると、野口選手も少し安心した様子。続いて5級課題の中で、豊田さんが苦手としている傾斜のきつい課題にチャレンジすることに。モデルならではのリーチとキックボクシングで鍛えた体力のある豊田さんでも、傾斜のある壁で持ちにくいホールドに遭遇するといつもそこで落ちてしまうそうです。

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<ホールドをしっかり掴んでぶら下がる>
<ぶら下がった後、態勢を整えて足を戻す>

そこで、野口選手から傾斜のある壁でのホールドの掴み方、体の使い方についてコツを教えてもらいます。「まずは無理な態勢で次のホールドを取りにいかないこと。2つのホールドを掴んで、いったんぶら下がって、足をしっかりホールドに戻した方がいいです」。さらには「ホールドは掴む前によく形状を観察すること。ホールドが効く向きに合わせて持つと、力を使わずに保持することができますよ」と的確なアドバイスをしてくれます。

その後、同じ課題に何度かチャレンジしますが、頭では理解できても体がついてこず、なかなか完登できません。疲労が溜まってきた豊田さんを見て、「腕の力だけで掴みにいこうとすると消耗してしまうので、身長を生かして体をひねって、掴みたいホールドに体全体を近づけることを意識してみてください」と野口選手。

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野口選手のチョークを借りて再度挑戦!

何としても登りたい豊田さんは、ボルダリング女王の神通力にあやかろうと野口選手のチョークを使わせてもらい、気合いを入れ直してラストチャレンジを試みますが、最後の一手が届かず、どうしても登れません。やはり5級攻略の道は甘くはないようです。この課題は今後の宿題として次のレッスンに進みます。

野口選手直伝!2つのフック技

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続いて、野口選手の代名詞とも言える技、ヒールフックとトゥフックを伝授してもらいます。5級課題に限らずこれをマスターすれば登りの幅がぐっと広がるので、初心者の方もぜひ覚えておきたいテクニックです。

「ヒールフックは足が切れて体を支えられない場合に役に立ち、腕への負担も減らすことができるテクニックです。足を寝かせて踵(かかと)をホールドにかけたら、腰を壁に近づけ、踵だけでなく足の付け根から腰で体を支えるイメージです」と最初にヒールフックのコツを教えてもらいました。

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<良い踵のかけ方>
<悪い踵のかけ方>
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<踵と腰で支える良い例>
<踵と腰で支える悪い例(腰(体)と壁が離れすぎている)>

さっそく豊田さんも挑戦しますが、うまく踵がかからず外れてしまいます。苦戦している様子を見て、「このホールドはヒールよりもトウの方がかけやすい」と野口選手。続けてトゥフックのコツを教えてくれました。「トゥフックのポイントは足を棒みたいに真っすぐに伸ばして、足の甲からL字のようにしてホールドに引っかけます。フックしていない足と手で体を支え、フックしている足で突っ張るイメージがポイントになります」

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<トゥフックの足のかけ方>

2つのフック技のコツを聞いた豊田さんはその後も繰り返し練習を重ね、動きを体に叩き込んでいきます。野口選手から「いいですね」とお墨付きをもらったところで、今日のレッスンは終了となりました。

5級攻略へのアドバイスとは?

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最後に、野口選手から今後のトレーニングについてアドバイスをもらいました。「5級からは一気に難易度が上がってくるので、最初は足の意識が重要になってきます。傾斜がきつく、難しい課題に無理にチャレンジするよりも、傾斜が緩い課題で足の間隔やフックの練習を繰り返してください。いろいろな種類の傾斜で6級が登れるようになったら5級にチャレンジするのがいいと思います。得意な課題、不得意な課題を作らずにまずは6級を全制覇できることが重要。6級を完璧にクリアできるようになった頃には、自分の得意な課題ならば5級も登れるようになるはずです。検定、頑張ってくださいね!」と最後まで優しい野口選手でした。

レッスンを終えて

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レッスン後もジムに居残り6級課題を全制覇し、宿題としていた5級課題も何とかクリアし、ガッツを見せた豊田さん。これには見守っていた野口選手も驚いた様子です。自信を取り戻した豊田さんにレッスンの感想を聞きました。「ジムが変わるだけで、ここまで登れないものかと自分の甘さを痛感しました。やはりまだ体の使い方、ホールドの掴み方を落とし込めていませんね。野口選手は本当に美しく気持ちよさそうに登っていますね。世界トップのクライミングに思わず見とれてしまいました。今後はいろいろなジムに行って、たくさんの課題に挑戦していこうと思います」と決意を新たにしました。

検定まで残り2カ月を切って、着々と成長している2人。第5回では、検定前の最後の特別トレーニングの様子をお届けします。お楽しみに!

ボルダリング検定の公式HPはこちら
http://www.jcga.co/bouldering.html

ディーボルダリング綱島の公式HPはこちら
https://www.d-b-c.jp/top/tsunashima/

取材・文:CLIMBERS編集部
写真:永峰拓也
撮影協力:ディーボルダリング綱島

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