ボルダリングユース王者・楢﨑明智が教える、初心者のためのスラブ壁攻略法

2018年の締めくくりとなるこちらの記事には、今年9月の世界ユース選手権でボルダリングとリードの2冠、さらに11月のアジア選手権でもボルダリング、コンバインドで2冠を達成した、TEAM auの楢﨑明智選手が登場。次代のホープに初心者によく見られる悪い登り方を挙げてもらい、それを改善するコツを指南してもらいました。楢﨑選手が選んだのはスラブと呼ばれる緩傾斜壁。壁が90度から奥へ倒れているため初心者でも取っ付きやすく、手始めに登るのにおすすめと言われています。

ホールドの向きを見る

初心者の方を見ていると、手だけで登りがちなんです。特に一般的なジムの初心者向け課題には手で持ちやすいホールドが多いのでなおさらですね。手だけで登ると、無理な態勢になって腕に疲労がたまり、落ちてしまう。

なるべく力を使わずに登るようにするには、まず手で持つホールドの向きを見ること。そしてその方向に体を持って行って足で「効かせる」ことです。いかに楽な態勢で効果的にホールドを持つかが、クライミングでは大切になってきます。ポイントは手で持つのではなく、重心を下半身に置くことですね。下半身で体を支えているイメージです。

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持ちやすい手の位置を見極めて、その方向に体を持っていく(写真下)。重心は下半身に置くこと。
<良い例>
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<悪い例>
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ホールドの向きに体を置いていないため、楽な姿勢を保つことができず、腕の力に頼らざるを得なくなる。

基本的にはこの繰り返しで、次のホールドの向きを見て、足が効かせられる向きに体を持っていきます。ホールドの向きに対して正しい位置にいれば、クライミングはそこまで力を使わないんです。僕も腕の力は使わずに登っています。

スラブだとどのホールドも効かせやすくなっているはずなので、この動作を身に着けるのには適しています。これをスラブでしっかりやっていると、どの傾斜でどんな課題をやっていても対応しやすくなると思います。

足はホールドの外側に置く

足の置き場所もポイントになってきます。スラブのあるあるで、初心者の方はホールドの壁に近い場所に足を置くことが多いんですよ。これだと移動するときに膝が詰まって動きにくくなります。よりホールドの外側に乗ることで動作に自由度が増します。最近増えてきたハリボテ(大振りなホールド)だと特にそうですね。

先端に乗ることで怖いと感じる方も多いかもしれません。足が震えたり、乗せ換えたりすると、安定せずにどんどん悪い位置になってしまいます。そんな時は足を信じてあげることも大切です。信じないで中途半端な位置だと、かえって変な落ち方をしてしまいます。正しい体の向きでホールドの外側に乗ることができれば、落ちたときに顔が壁やホールドにぶつかることはありません。実際に僕も登っていて感じていますが、ホールドの外側に乗っている方が滑りづらいんです。

アンダーは足で持つ

また、特にアンダー(下を向いているホールド)は手だけで登ってしまうケースが多く見られますね。腕が曲がり切って、体も丸まっているような状態です。腕で頑張って引こうという考えに持っていかれがちなんです。アンダーも手で持つのではなくて、足で持つ感じですね。極端に言うと、ピンって足から胸まで棒1本を張ってそこから手をホールドに引っかけてるだけみたいなイメージです。そうするとだいぶ楽に登れるはずです。

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アンダー=持ち手側が下を向いている。
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腕で引こうという意識が勝ってしまい手で持とうとしがちだが(左)、足から胸まで1本線を意識してホールドは腕を掛けるイメージで持つ(右)のが正解だ。

この基本の動きをスラブでしっかり身に付ければ、課題のグレードが上がったとしても、対応しやすくなるはずです。ただ持ち手がどんどん難しくなるだけで、やってることは一緒なんです。ホールドの向きを見て、その方向に体を入れて、足で効かせる。みなさんも是非実践してみてください。

取材・文:CLIMBERS編集部
写真:森口鉄郎
撮影協力:B-PUMP 荻窪店

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