初心者が『ボルダリング検定』5級合格を目指す、密着ドキュメント 【第3回】

まったくのボルダリング初心者が、日本クライミングジム連盟主催の技能検定『ボルダリング検定』で5級合格を目指す――。来年2月の検定会(2018年度は4回開催)に挑戦するのは、キックボクシングが趣味でスポーツ万能の豊田恭兵さん(27歳)と、映画とゲームが好きで普段スポーツは一切しないという葉月蓮さん(23歳)のモデル2人だ。彼らの歩みを追う連載の第3回は、TEAM auメンバーの藤井快選手と楢﨑明智選手による、スペシャルレッスンの模様をお届けします。

TEAM auのトップ選手が直接指導!

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今回は女性ならではの課題や上達のポイントなどをTEAM auの藤井選手、楢﨑選手からレクチャーということで、葉月さんの一人レッスンとなりました。そんな彼女が訪れたのは、都内でも最大規模を誇る有名ジム「B-PUMP 荻窪店」。広々としたジム内にあるコンペ壁で多くの大会が開催されるなど、本格的なジムとしてトップクライマーも数多く訪れる人気店です。初めての一人レッスンということで、いろんな課題を積極的に登る葉月さん。そこへ今回の特別コーチとして現れたのが、藤井選手と楢﨑選手。藤井選手は今シーズンのボルダリングW杯で年間6位、ボルダリングジャパンカップ(BJC)では3連覇中の現王者です。そして楢﨑選手はアジア選手権のボルダリングとコンバインド種目で優勝し、見事2冠を達成しました。そんな日本を代表するトップクライマーの2人による特別レッスンのスタートです。

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まずは、葉月さんの現在の登りをチェック。8級の課題をスイスイと登る様子を見た楢﨑選手は「良い感じですね」と一言。8級を難なく登れたので、次は1つ級を飛ばして6級課題にチャレンジすることになりました。しかし、藤井選手も「この課題はけっこうクセがありますね」と言う難課題に大苦戦。手も足も出ず、楢﨑選手がデモンストレーションを見せてくれました。するとあまりに軽々と完登していく楢﨑選手に「えー! すごーい!」とテンションが上がる葉月さん。ここで藤井選手に足を置く位置を教えてもらい再度チャレンジしますが、なかなか登れません。

腕の力を使わず、膝を使って攻略すべし

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そこで藤井選手からのアドバイス。「立ち上がる時に、立ち上がった側の足の膝を内側に折り畳むことで、重心をスムーズに移動できるので力を使わずに登ることができます」と、登る時の重心の動かし方と膝の使い方を伝授してもらいます。

さらに楢﨑選手も「壁に対して正面を向くと、けっこう腕の力が必要になるんですよね。でも膝を折り畳んで体を捻ることで、壁に近づくことができてそれほど力を使わなくても登ることができます」と、膝を折り畳んで体を捻ることのメリットを教えてくれました。

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ただ、それでもなかなか登れない葉月さんを見て、藤井選手が「この課題はまだ難し過ぎるかもしれないですね。よくボルダリングをやる人でも落ちてしまうレベルだと思います」と、課題の変更を提案。

やはり重要なのはオブザベーション(課題の下見)

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次にチャレンジしたのは、1つ難易度を落とした7級の課題。藤井選手に一手、一手見てもらいながらなんとか完登。ここで藤井選手、楢﨑選手からのアドバイス。

「最初はざっくりとでいいので、どこにホールドがあるかを見ておくと登りやすくなります」と、オブザベーションのコツを教えてもらいます。「ゴールから逆算していくと手順がわかりやすかったりします。例えばゴールが右手で取る位置にあったら、その前のホールドは左手で取るんだなというように順番にたどると、どうやってホールドを取っていくかがイメージしやすくなります」と楢﨑選手。オブザベーションは慣れが必要だけれど、普段からイメージする癖をつけることで徐々にムーブが見えるようになってくると言います。

それから藤井選手は「それでも5級レベルになると、見てもムーブがわからない課題も出てくると思います」と、5級の難しさについても教えてくれました。「ただ、このジムの5級は他のジムよりも難しい方なので、ここの5級が登れるようになれば、他のジムの5級課題は高確率で完登できるようになると思います。もしかしたら4級課題も登れるかもしれないですね」。

B-PUMP荻窪店の課題は通常よりも少し難易度が高く、まだまだボルダリング歴の浅い葉月さんには難しかった模様。最後に藤井選手が5級課題のデモンストレーションを披露してくれて、この日のレッスンは終了しました。

両選手からの5級攻略へのアドバイスとは?

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レッスンの最後に、藤井選手と楢﨑選手に5級検定までのトレーニングについてアドバイスをもらいました。

藤井選手は「クライミングの基本動作は梯子を登るようなイメージになります。右手を出す時は右足を上げて、左手を出す時は左足を上げます。出す順番も大事で"足を上げて手を出す"、基本はこの順番になります」と、クライミング動作の基本について説明すると、楢﨑選手も「手が先に出てしまうと足を上げられなくて体が上がらないんですね。そうすると手を出した状態で"動けない"となってしまいます。とにかく下半身から動かすイメージで登るといいと思います」と、手が先に出てしまった時に陥る状態を解説してくれました。

さらにホールドを持ちづらそうにしている葉月さんを見て、藤井選手は「5級では持ちにくいホールドも出てくると思うので、そういうホールドも持てるように慣れておくことが必要です。低いグレードの課題でもいいので、持ちにくそうなホールドで練習をして握り方を覚えておくといいですよ」と、いろんなホールドに慣れることも大切だと言います。そして楢﨑選手は「やっぱりまずは登る時間が大事だと思います。壁にいる時間が長ければ、それだけ登れるようになります。そうしてある程度登れるようになって、課題にぶつかったら他の人の登りを見たり、助言をもらったりすればいいと思います」と、とにかくたくさん登ることが上達への近道だとアドバイスをくれました。

レッスンを終えて

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日本を代表する2人の選手からのスペシャルレッスンを終えた感想を葉月さんに聞くと、「ジムによって難易度が全然違って、今回のジムは6級でも登れなくてどうしよ〜と思っていました。ですが、両選手がこれは難しい壁だと仰っていたので少し安心しました。でも私が目指すのは5級なのでもっと頑張らなくてはと思いました。手を無理やり伸ばして登るのではなく梯子を登るようにリズムよく登っていく、さらに膝の入れ方などのアドバイスをいだきとても勉強になりました。さっそく実践して登ってみます。藤井選手、楢﨑選手が登っている姿はとても軽快で、私もすぐできるんじゃないかな〜と思いましたが、いざやってみると全然違ってびっくりしました。私もあんな感じに軽快に登りたいなと思いました。やはり壁と向き合って数をこなすことに意味があると、今までのレクチャーの中でも色んな方々が仰っていたのでジムに沢山通いたいです。」と気持ち新たに今後の意欲を語ってくれました。

2月の検定まで残り2カ月を切りました。着実に成長を見せる2人だが、乗り越えなければいけない壁もまだまだ多い。第4回でも引き続き、2人のトレーニングの模様を追っていきます。お楽しみに!

ボルダリング検定の公式HPはこちら
http://www.jcga.co/bouldering.html

B-PUMP 荻窪店の公式HPはこちら
http://pump-climbing.com/gym/bpump/

取材・文:篠 幸彦
写真:森口鉄郎
撮影協力:B-PUMP 荻窪店

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