新たなスポーツ観戦体験を提供する「自由視点映像」

8月5日、東京のB-PUMP荻窪で開催されたボルダリングコンペティション「ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018」。TEAM auの野中生萌や藤井快ら日本を代表するクライマーが一堂に会し、トップレベルのクライミングが披露され、会場は大いに盛り上がった。そんな白熱した同大会で、トップクライマーの登りを新感覚で体感できる映像システム「自由視点映像」が話題を呼んだ。

スポーツクライミングを好きな角度で観戦

「自由視点映像」とは、スポーツ中継の映像を視聴者が見たい角度で自由に見ることができる、KDDIが開発した新テクノロジーによる映像システムだ。具体的にどういうシステムなのかを紹介しよう。会場に設置された16台のカメラで選手が登る姿を撮影し、その映像を「タイムスライス自由視点」という方式で処理。そして会場に設置されたディスプレイやタブレットにその映像がリアルタイムで送られる。すると観客はディスプレイのコントローラーを操作したり、タブレットの画面をタッチすることで、その選手の登りを自分が見たい角度に自由に視点を動かし、リアルタイムにあらゆる角度から観戦できるのだ。

実際の動画をご覧いただきたい。

~SUPER FINAL~

【ROCKSTARS SUPER FINAL女子 野中 生萌 選手 VS 平野 夏海 選手】

自由視点映像を観る⇒

【ROCKSTARS SUPER FINAL男子 藤井 快 選手 VS 原田 海 選手】 

自由視点映像を観る⇒

クライミングの中継は従来の単一視点だけではどうしても壁の角度やホールドの具合などがわかりづらい場面が多い。クライミングに詳しい人ほど、そうした壁やホールドがどうなっているかという、より詳細な情報が欲しくなってしまうもの。そんな視聴者の「もっとここが見たい!」という願望を叶えてくれるのが、自由視点映像なのだ。

ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018の会場では、決勝とスーパーファイナルの模様が自由視点映像で配信され、今まで見ることができなかった真上や真横といった視点からトップ選手の登りを見ることができた。実際にタブレットで操作してみると、あらゆる角度に滑らかに視点が移り、タイムラグを感じることなく視聴できたことに驚きを覚えた。

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もちろん、それほど詳しくない人でも様々な角度から見ることで、より選手たちの迫力ある登りを体感することができるのもこの映像システムの魅力だ。しかも配信される映像は会場のディスプレイやタブレットだけでなく、自身が持つPCやタブレット、スマートフォンからでも視聴できるので、これまでにないクライミングの映像体験を世界のどこにいても可能にしてくれる。

KDDIの技術がもたらす新たなスポーツ観戦スタイル

また、この自由視点映像はクライミングの現場だけでなく、あらゆるスポーツ観戦に新たなスタイルをもたらす可能性を秘めている。すでに2018年6月26日に開催されたプロ野球の「北海道日本ハムファイターズ対福岡ソフトバンクホークス」でも実験的に実施されている。その試合ではバッターボックスに向けて16台のカメラが設置され、バッティングの瞬間をあらゆる角度から見ることができた。さらに2017年12月8日〜16日に開催された「EAFF E-1 サッカー選手権2017決勝大会」では、自由視点映像の技術とVRを組み合わせた映像の生成が行われた。今までは自分の1つの視点でしか楽しめなかったスタジアム観戦が、まるでピッチに立っているような選手目線での映像体験に進化したのである。

このようにKDDIが開発した新テクノロジー「自由視点映像」を活用することで、新しい観戦スタイルが生まれようとしている。デジタルテクノロジーの進化とともに、2020年に向けて様々な日本のスポーツシーンが盛り上がりを見せる中、自由視点映像がスポーツ観戦に新風を巻き起こすかもしれない。

取材・文/篠幸彦

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