失敗しない初めてのマイシューズの選び方

クライミングを始め、ハマってきた人が必ず悩むのがマイシューズ選び。種類がたくさんあり、サイズも普段履く靴とは違うので、どれを選んだらよいかわからないという初心者の方も多いはずだ。初めてのマイシューズ選びで失敗しないためのポイントやおすすめのタイプを、登山・アウトドア用品の販売を手がける「好日山荘」が運営するクライミングジム、グラビティリサーチ大宮店に勤務する寒川(そうがわ)さんに解説してもらいました。

そもそもクライミングシューズとは

クライミングシューズは歩くためのものではなく、壁を登るために作られた靴です。普段履く靴と比べて大きく異なるのはサイズ感です。基本的には小さめのサイズで、つま先を曲げる形で履きます。これは、つま先を曲げることで指先に力が入りやすくなるためです。また、足とシューズがフィットしている方が、よりつま先の力をホールドに伝えやすくなります。逆にサイズ感に余裕があり、シューズの中で足が動いてしまうとつま先の力が逃げてしまいます。このようにクライミングシューズは壁を登るために必要な力を伝えたり、必要な動きを可能にするために履くシューズと言えます。

マイシューズ購入のメリット

クライミングを始めたての頃は、ジムでレンタルシューズを借りる方がほとんどだと思いますが、基本的にレンタルシューズはいろんな人が履いているので多くの場合、既に"馴染んでいる"状態です。そのため、履いた感じにどうしてもバラつきが多くなってしまいます。お客さんによっては同じサイズのレンタルシューズを履いても、「昨日のシューズは痛くなかったのに、今日履いたものは痛かった」という方もいます。 マイシューズを買うことで、自分の足に合ったシューズで登ることができ、よりフットホールドの感覚がわかるようになってきます。購入した当初は少し硬さを感じるかもしれませんが、使っていくことで自分の足型にシューズが馴染んでいきます。そうするとシューズを道具として上手に使えるようになり、クライミングの上達も早くなります。

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クライミングシューズの種類

クライミングシューズには大きく分けて3つのタイプがあります。1つ目はスリッパタイプ。紐やベルクロがなく、ゴムで止めているタイプです。シューズ自体がシンプルで軽く、足の甲の部分に邪魔になるものがないので、トウフック(ホールドにつま先から足の甲を引っ掛けるムーブ)などがやりやすいという利点があります。2つ目はシューレースタイプ。靴紐で締めるタイプで、幅広くかつ細かいサイズ調整ができることが特徴です。足の甲が低い人は甲の部分が余ってしまう場合があるのですが、このタイプであればしっかりと締め込むことができます。3つ目はベルクロタイプ。その名の通りベルクロで止めるタイプです。レンタルシューズに使われていることも多く、足入れがしやすく、サイズ調整もしやすいのが特徴です。スリッパとシューレースの中間的なタイプで、初心者にもおすすめです。上記の3タイプが基本ですが、最近ではスリッパタイプにベルクロを付け、それぞれの特徴を活かしたハイブリッドなタイプも人気です。

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スリッパタイプ

シューレースタイプ

ベルクロタイプ

また、靴底にもそれぞれ特徴の違うタイプがあり、靴を横から見た場合には3タイプ、上から見た場合には2つのタイプに分かれます。まず、靴を横から見た場合のタイプの違いですが、1つ目はフラットタイプ。靴底が平らなタイプで、癖がないので初心者の人でも使いやすいです。2つ目はダウントウタイプ。つま先が下に向いているタイプです。足全体が弧を描くような形になり、傾斜での足残りが良いというメリットがあります。3つ目は船底タイプ。つま先がせり上がっているタイプです。つま先が上がっているので、壁につま先を押し当てるスメアリングなどがしやすいというメリットがあります。

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フラットタイプ

ダウントウタイプ

船底タイプ

次に靴を上から見た場合、1つ目はストレートタイプ。踵からつま先までがまっすぐな形をしていて癖がなく、いろいろな登りに対応できるオーソドックスなタイプで、こちらも初心者におすすめです。2つ目はターンインタイプ。踵の位置に比べて親指が内側に入るタイプで、親指の内側でホールドを踏むような場面で使いやすい特徴があります。

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ストレートタイプ

ターンインタイプ

靴底のタイプはフラットタイプだけれどターンインしていたり、ダウントウしているけれどストレートだったりなど、様々な組み合わせがあります。クライミング初心者の場合、自分がどういう課題を頑張って登りたいというのが定まっていない段階だと思うので、まずは癖がなく履きやすいフラットでストレートなタイプがおすすめです。

シューズ選びで気をつけるポイント

一足目のシューズは痛みを感じない、楽しく登れるサイズを選ぶことが大切だと思います。小さめを履いてつま先がある程度曲がっている状態が理想ではありますが、シューズに慣れないうちはどうしても足が痛くなってしまいます。最初のうちは足にあまりストレスをかけず、シューズに慣れるようにたくさん登れるサイズを選んでもらうのがいいと思います。楽しく登れるシューズを選ぶために、次の3つのポイントに気をつけてみてください。

フィット感
そのシューズがどれだけ自分の足型にフィットしているかが大切です。足型が合っていれば、クライミングシューズ特有の小さめのサイズを履いても痛みが出にくくなります。逆に足型が合っていないと、サイズを上げたとしてもどこかに痛みを感じやすくなります。

必ず試し履きする
メーカーによって足型に特徴があったり、サイズ表記がバラバラだったりするので、まずはいろんなメーカーのシューズを履いて、自分の足に合うものを探してみてください。また同じメーカーのものであっても、シューズのタイプによって選ぶサイズが変わることもあります。最近はネット販売やオークションサイトなどで買い物をする人も多いと思いますが、最初は必ず店頭で試し履きをしましょう。

痛みが出やすいポイントをチェック
クライミングシューズはつま先の上、親指側、小指側、かかとに痛みを感じやすいので、自分の足にフィットしていることに加えて、その4カ所に痛みをあまり感じないかをチェックしましょう。その時に座ったままではなく、立ち上がってつま先にしっかりと体重がかかるようにチェックしてください。実際に体重がかかった状態でなければ、どれだけ痛みを感じるかはわかりません。

よくある失敗は「サイズを攻めすぎる」ことです。攻めすぎるというのは、サイズを小さくしすぎることを言います。クライミングシューズは小さめでフィットすることが大切ではあるのですが、小さすぎるシューズを選んでしまって痛くて履けないという失敗がよくあります。一足目を選ぶ時は小さすぎないか少し不安なものを選ぶより、適正な範囲内で少し上のサイズを選ぶ方が失敗しません。大きめのシューズは後々、ウォーミングアップ用にするといった使い方もできますが、小さすぎるシューズは履けないので使い道がなく、タンスの肥やしになってしまいます。

寒川さんおすすめのエントリーモデル

サルティック/ファルコ
スリッパタイプがベースで、1モデルの男女兼用シューズです。一足目を選ぶ時は足裏の感覚がわかりやすい比較的柔らかめのシューズが良いと言われます。ファルコは足裏感覚も良く、また、アッパーも柔らかくて足によく馴染むのが特徴で、幅が広いというのも履きやすさのポイントです。

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男女兼用モデル カラー:レット/パープル、アッパー:レザー、ミッドソール:SAGOTEX、ソール:サルティックオリジナル エクスタシーソール4mm、重量:380g(ペア)

ラ・スポルティバ/タランチュラ
一足目のシューズには、つま先部分の幅が広めなものの方が足が痛くなりにくく、おすすめです。タランチュラは男女どちらのモデルもつま先が広めで、ベルクロタイプ・フラットタイプで足入れ感が良く、初心者にもとても履きやすいようになっています。

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男性用モデル カラー:ブルー、アッパー:スエードレザー、ソール:FriXion Black 4mm、重量:約240g(1/2ペア)

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女性用モデル カラー:コーラル、アッパー:スエードレザー、ソール:FriXion Black 4mm、重量:約215g(1/2ペア)

一般的に、ボルダリングであれば5級ぐらいの課題にチャレンジするレベルで、マイシューズ購入を考える人が多いようです。シューズひとつで登れる課題やムーブも広がるので、まずは自分自身の足に合った無理のないシューズを見つけ、クライミングを楽しんでみてはいかがでしょうか。

  • 寒川尚己
  • 寒川尚己(そうがわ・なおき)
    好日山荘が運営するグラビティリサーチ大宮店にて、ジムスタッフとして勤務。
    クライミング歴約8年の経験を活かし、ジムでは数多くのクライミングデビューをサポートしている。

取材・文/篠幸彦
写真/森口鉄郎
撮影協力/好日山荘 大宮店 GRAVITY RESEARCH 大宮

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