伊東秀和コーチが教えるキッズボルダリングのススメ 【後編】

最近はボルダリングを楽しむお子さんも増えてきました。「ウチの子にもやらせてみようかな?」と考えている方も多いかもしれません。今回はお子さんが健康的に楽しみながらボルダリングを続けていくために、保護者の方が知っておきたいポイントをご紹介します。解説役はTEAM auの野口啓代選手、野中生萌選手、楢﨑智亜選手、楢﨑明智選手をはじめ、多くの日本代表選手を指導してきた伊東秀和コーチです。

子どもならではの間違いやすいポイントとは?

ボルダリングを始めたばかりの子どもはみんな夢中になって登るものですが、それゆえに気をつけなければいけないことや陥りやすい間違いがあります。特にボルダリングは高い壁から落ちる側面もあるので、一つ間違えれば怪我に繋がる危険もあります。後編ではそうしたリスクを避けるために知っておいてほしいポイントや、ジムで登りこんでいく際の実践的なコツを4つ挙げてみました。

ポイント①:着地
正しい着地を身につけよう

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ボルダリングは壁に登って降りるということを何度も繰り返すスポーツです。高い位置から飛び降りることも少なくありません。壁の下にはマットが必ず敷いてあるので安全ではありますが、小さな子どもには注意が必要です。正しい着地を身につけていないと、着地する際に膝に力が入らず、潰れるように落ちて膝が顔にぶつかったり、尻餅をついて落ちたときに手のつき方が悪く、肘や肩、手首を痛めてしまうこともあります。両足をしっかりと着いて、着地の瞬間に膝のバネを使ってショックを和らげられるように練習しましょう。

ポイント②:ゴールの設定
実際のゴールよりも下でもOK

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各課題のゴールは壁の一番上に設定されているものがほとんどです。壁は約3メートル、ジムによっては4メートル近くの場合もあります。そうすると小学校低学年くらいの小さな子どもにとっては、ゴール地点がとても高く、怖いと感じてしまうものです。本来はゴールまで登れる力があるのに、怖くて登れないという子は多く、見ている保護者も怖いと感じる人は多いでしょう。そういう場合は、必ずしも設定されたゴールまで登らせる必要はありません。実際のゴールよりも、1つ、2つ下のホールド、あるいは本人が怖くない高さのホールドをゴールにして登らせてあげましょう。また、本来ゴールホールドは両手で掴まなければいけませんが、ゴールを変えることで掴みづらいことがあります。無理に両手で掴みにいって怪我に繋がる恐れもあるので、そういった場合は片手で掴んでもOKという柔軟な対応で登らせてあげるといいでしょう。恐怖心がなくなることで子どもはより集中力を発揮でき、トライできる課題の量やグレードの幅もグッと上がると思います。

ポイント③:目線
上ばかり見ず、フットホールドに注目しよう

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ボルダリングを始めたばかりの子どもに多いのは、登るときにどうしても登る先に意識が向いて、上ばかりを見てしまうことです。そうすると足元が見えず、足の置き場に困ってうまく登れないということがよくあります。顔が上ばかり向いてしまう子どもには一度、壁と体の間に空間を作るように下を見て、フットホールドに注目することを教えてあげましょう。的確な足の置場がわかるようになれば、それまでよりもずっと登りやすくなります。

ポイント④:ホールドの取り方
取りたいホールドと反対側に反動をつけよう

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これも始めたばかりの子どもに多い傾向ですが、ホールドを掴みにいくとき、どうしても意識が先に行き過ぎて腕の力だけで掴もうとしてしまいがちです。これでは体が固くなり、全身の力をうまく利用することができません。次のホールドを掴みにいくときのコツは、取りたいホールドとは反対側に一度体を引くこと。タメを作ってその反動を利用してホールドを取りにいきましょう。

ここからは自宅やジムでできる簡単トレーニングをご紹介します。保護者の方と一緒に試してみてください。

①連続ジャンプ

①連続ジャンプ

下半身を強化して、安定感と爆発力をアップするトレーニングです。腕を振り上げる反動を利用してジャンプし、飛んでいる最中は両膝をしっかり伸ばします。着地の際はしっかりと膝のバネを効かせるようにし、次のジャンプに素早く切り替えます。10回を3セット繰り返しましょう。

②倒立

②倒立

肩周りと体幹を鍛えるトレーニングです。子どもが倒立をし、保護者の方が足を持って補助をしてあげてください。背中が曲がったり、傾いたりせず、しっかりと体がまっすぐになるように体幹を意識しながら行います。30秒を3セット繰り返ししょう。

③V字腹筋

③V字腹筋

体のコアとなる腹筋を鍛えるトレーニングです。頭と両足を少し浮かせた状態からスタートし、上半身と両足を同時に持ち上げて両手で足をタッチします。両膝・肘が曲がらないように意識しながら10回を3セット繰り返しましょう。

今回の【前編】、【後編】を通して、お子さんがボルダリングを始めるにあたって知っておいてほしいポイントをご紹介してきました。何より大切なのは子どもがのびのびと楽しく登ることです。お子さんがボルダリングに興味を持ったのならば、保護者の方も一緒に始めることもお勧めします。きっと家族で楽しいひと時を過ごせるはずですよ!

  • 伊東秀和
  • 伊東秀和(いとう・ひでかず)
    1976年、千葉県生まれ。2002年、03年のジャパンツアー年間王者。日本代表として11年まで世界選手権5大会に連続出場(リード種目)。現在は『伊東秀和クライミングスクール』を主宰し、多くの日本代表選手からユース世代、一般の方まで幅広く指導している。『スカイA』スポーツクライミング番組の解説でもおなじみ。
    公式インスタグラム https://www.instagram.com/hide9a2016/

2018年8月9日

取材・文/篠幸彦
写真/森口鉄郎
撮影協力/PUMP1 川口店、柿﨑咲羽(キッズモデル)

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