"初代"複合王者はTEAM auの野口啓代と楢﨑智亜!/第1回コンバインドジャパンカップ

6月23・24日、国内初となるコンバインド(3種複合)公式大会「第1回コンバインドジャパンカップ」が岩手県営運動公園及び岩手県勤労身体障がい者体育館(いずれも盛岡市)で開催された。コンバインドとは一人の選手がスピード、ボルダリング、リードの順に競技を行い、その順位を掛け合わせた値が少ない選手が上位となる競技方式で、クライマーとしての総合力が問われる。国内トップクラスの選手を中心に男女合わせて約40名が名を連ね、TEAM auからは野口啓代、野中生萌、伊藤ふたば、藤井快、楢﨑智亜、楢﨑明智の所属6選手が揃って出場した。女子では全競技を3位以内にまとめた野口が貫録の優勝。男子ではスピード、リードの2種目で1位を獲得した楢﨑智が頂点に立ち、記念すべき第1回大会をTEAM auのアベック優勝で飾った。

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先に行われた女子決勝には、午前開始にもかかわらず立ち見が出るほどの盛況ぶりで、第1種目のスピードでは、盛岡出身の伊藤が準決勝で自己ベストを上回る10秒08を記録。決勝でも野中に勝利し、地元の観衆を前に好スタートを切った。2位には野中、3位には野口が入り、競技は第2種目のボルダリングへ。序盤の両手で押さえ込むランジ(壁内でジャンプしホールドを取りにいくムーブ)に苦戦する選手が続出した第2課題を野口が2トライで攻略し一歩抜け出すと、そのまま全課題を登り切り1位を獲得。2種目を終えて、伊藤と野口が3ポイントで並んで首位、野中が4ポイントで続き、優勝の行方はTEAM auの3選手に絞られるかたちとなった。

最終種目のリードでは、できる限りTOPに近づいて後続の2人にプレッシャーをかけたい野中だったが、中間地点の高度21で力尽きる。次に登る野口は気迫のこもったクライミングで終盤の37+まで到達し、最終6番手の伊藤の結果を待つことに。地元の大声援を背に粘り強く登っていくも、優勝まであと僅かの36+でフィニッシュ。伊藤との接戦を制した野口が栄えある"初代"複合女王の座を射止めた。3位にはリードでTOPに迫る39+で最高高度を獲得した14歳の谷井菜月が滑り込んでいる。

続いて行われた男子決勝の第1種目スピードでは、予選を1位通過した楢﨑智がこの日も好調な滑り出しをみせる。順当に勝ち進んだ決勝で男子の日本新記録となる6秒87をマーク。1位で第1種目を終える。続くボルダリングは、第3課題を終えた時点で3完登に5選手が並ぶ混戦模様。迎えた最終第4課題はテクニカルなムーブとパワーが要される難関だったが、4番手に登場した楢﨑明は他の選手が足を掛けて進もうとしたポイントを長いリーチを活かしたランジで突破。そのまま見事に2トライ目で切り抜け、この課題唯一の完登者となり1位を獲得した。

最終種目のリードを前にして、優勝の可能性は3ポイントの楢﨑明、4ポイントで並んだ楢﨑智、緒方良行の3選手となった。リードでは終盤の高度35以降が勝負のポイントとなったが、5番手の楢﨑智が他選手より速いペースでスピーディーに登っていくと、37+まで辿り着き、優勝を大きく手繰り寄せる。最終競技者の楢﨑明は高度35まで到達するも、「ポケットを上手く捉えられなかった」とホールドを掴みきれず痛恨のフォール。最後までもつれた兄弟対決は兄・智亜に軍配が上がった。2016年の世界選手権をはじめ国際大会では多数の優勝経験を持つ楢﨑智はユースを除くと意外にもこれが国内公式戦の初優勝となった。

国内初となるコンバインド公式戦は男女合わせてTEAM auの4選手が表彰台に登る快挙となった。7月にはリードW杯も開幕し、シーズンはいよいよ後半戦に突入する。今後もTEAM auの活躍に期待したい。

<野口啓代選手 コメント>

「最終種目のリードの途中では、今まで経験したことのない疲れを感じて、何回か手を離しそうになりましたが、とにかく優勝したいという気持ちで登りました。3種目の疲労感だったり、精神的なダメージを経験できたことはすごく大きいと思っています。肉体的には辛いですが、もっとコンバインドの大会に出場したり、練習を積んでいかないといけないと思っています。ここで優勝できたことは今後の自信に繋がります」

<伊藤ふたば選手 コメント>

「地元開催ということで、小さな子どもの歓声や応援の声がたくさん聞くことができて、登っていて楽しかったですし、力になりました。2位という結果は、優勝の可能性もあったので、悔しい思いはあります。それでも、スピードで自己ベストを更新できたことは自信になりました。1種目ごとにきちんと集中することや、競技の合間での疲労の抜き方などこれからもっと工夫をしていきたいです」

<野中生萌選手 コメント>

「体力的にすごく厳しかった。コンバインドだと種目ごとのウォームアップがいつものようにしっかりはできなくて、競技の間も短いので、後半になるに連れて苦しくなってきました。リードは出し切る前に落ちてしまって悔しかったです。このフォーマットを体験できたこと、味わった疲労感などが何よりの収穫だったと思います。これからは1日に複数種目の練習に取り組むなど、体力づくりが大切になると感じました」

<楢﨑智亜選手 コメント>

「国内大会の優勝は初めてなので嬉しいですね。得意のボルダリングで順位を落としてしまって、追い込まれていましたが、最後にリードで挽回できて良かったです。スピードでは6秒台、そして日本新記録を出すことができて、自信になりました。コンバインドは掛け算なので一つ落とすと優勝が難しくなる。世界選手権では単種目ごとの専門選手が出てくるのでもっと厳しい戦いになると思います。弟の明智と最後まで接戦で競うことができて楽しかったです。(兄弟対決を制した感想は?)達成感ハンパないです(笑)」

<楢﨑明智選手 コメント>

「2位という結果は想像以上に悔しいです。兄と一緒に表彰台に乗れたらいいな程度に思っていましたが、ボルダリングで勝ってしまって、少し夢を見ちゃいました。疲労感はあまりありません。去年世界ユース選手権でコンバインドを経験していますし、最近リードが好きで結構登り込んでいたので自信がありました。(公式戦で初の兄弟表彰台について)兄から『明智がここまで来ると思わなかった』と言われましたが、『行くに決まってるだろ』って (笑)。コンバインドだと国内の強い選手とも戦えるんだという自信はつきました」

<女子決勝>
1位:野口 啓代(29) 6ポイント(S 3位/B 1位/L 2位)
2位:伊藤 ふたば(16) 9ポイント(S 1位/B 3位/L 3位)
3位:谷井 菜月(14) 16ポイント(S 4位/B 4位/L 1位)
4位:野中 生萌(21) 20ポイント(S 2位/B 2位/L 5位)
5位:倉 菜々子(18) 120ポイント(S 6位/B 5位/L 4位)
6位:栗田 湖有(15) 180ポイント(S 5位/B 6位/L 6位)

<男子決勝>
1位:楢﨑 智亜(22) 4ポイント(S 1位/B 4位/L 1位)
2位:楢﨑 明智(19) 6ポイント(S 3位/B 1位/L 2位)
3位:緒方 良行(20) 12ポイント(S 2位/B 2位/L 3位)
4位:原田 海(19) 72ポイント(S 4位/B 3位/L 6位)
5位:杉本 怜(26) 120ポイント(S 6位/B 5位/L 4位)
6位:高田 知尭(23) 150ポイント(S 5位/B 6位/L 5位)
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8位:藤井 快(25)※予選敗退

※左から氏名、年齢(大会初日時点)
※決勝成績は左から各種目を掛け合わせた複合ポイント、各種目順位(S=スピード、B=ボルダリング、L=リード)

写真:アフロ/JMSCA
文:CLIMBERS編集部

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