TEAM au 野口啓代が自国開催で涙の優勝。/ボルダリングW杯2018 第5戦八王子大会

6月2・3日、ボルダリングW杯2018の第5戦がエスフォルタアリーナ八王子(東京都・八王子市)で行われた。本大会には28の国と地域から、男子91名、女子68名、計159選手が集結し、TEAM auからは野口啓代、野中生萌、伊藤ふたば、藤井快、楢﨑智亜、楢﨑明智の所属6選手が揃って出場した。女子では野口がW杯通算21度目、3大会連続となる優勝を果たし、野中も2位に入り、TEAM auのツートップが華麗なワンツーフィニッシュを飾った。男子はガブリエーレ・モローニ(イタリア)が初優勝。優勝が期待された楢﨑智亜は惜しくも2位で、今シーズン3度目の表彰台に登った。

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2日に行われた予選ではTEAM auの6選手を含め、有力選手が順当に勝ち上がった。翌3日午前に行われた準決勝では地元開催の大声援を受けた日本勢が躍動する。女子は全課題を一撃(最初のトライで完登)で決める圧巻のパフォーマンスを披露した野口が首位通過。4位通過の野中に加えて、伊藤が2位でW杯参戦5戦目にして初のファイナル進出を果たした。男子では3完登で2位通過の楢﨑智亜を筆頭に、同じく3完登で並んだ原田海、杉本怜が決勝に駒を進めた。今季W杯初出場となった楢﨑明は2完登で10位、1完登に止まった藤井は16位で準決勝敗退となった。

そして迎えた午後、女子決勝の優勝争いはやはり野口、野中の一騎打ちとなった。それぞれ2完登を重ねトライ数の差で野口が1歩リードした状態で臨んだ最終課題。先に登る野中が会心のパフォーマンスで一撃し、野口にプレッシャーをかける。2トライ以内に完登すれば優勝というしびれる場面となった野口の1トライ目、会場全体が息を呑んで見守るなか、序盤の緩傾斜の難所をスムーズに切り抜けると、そのまま一気にTOPに駆け上がった。本大会9つ目となる一撃で、見事女王の座を射止めた。3位にはエカテリーナ・キプリーアノワ(ロシア)が入り、初めてファイナルを戦った伊藤は6位。完登こそなかったものの、最後まで諦めない姿に会場から惜しみない拍手が送られ、今後の飛躍に期待を持たせる内容となった。

続く男子では、高難度課題がファイナリストたちに立ちはだかる。完登数の少ない締まった展開が続き、抜け出す者が現れないまま最終課題に突入する。ここまで完登0だった楢﨑にも一撃すれば逆転という千載一遇のチャンスが巡ってくる。勢いよくスタートから飛び出すと、ゾーンを捉えて離さない。そのまま最後の力を振り絞り、奇跡の一撃を完成させると、ざわめきにも似た歓声が会場を駆け巡り、悲願の優勝を手中に収めたかと思われた直後、最後にドラマが待っていた。最終競技者のモローニが1トライ目でゾーンを捉え、そのまま完登。逆転に次ぐ逆転で30歳のベテランが初のW杯優勝を決めた。3位には杉本が入り、今季初の表彰台に立った。

会場には昨年を上回る約2,500名が駆け付け、トップクライマーたちの熱い登りとドラマチックな展開に多くの観客が魅了された今大会。シーズンも残すところあと2戦。大詰めを迎える年間優勝争いの行方にも注目していきたい。

<野口啓代選手 コメント>

「昨年の八王子で2位だったので、この一年間、本当に日本で優勝したいという思いでW杯の前半戦を頑張ってきました。パワフルな2課題目、2トライ目ですごく疲れてしまって、観客の皆さんのパワーをもらわないと登れないなと思いました。大きな歓声をもらったおかげで登れたと思います。最終課題はここで登らないと優勝はないと分かっていたので1トライ目で決めたいと思っていたので、登れたときは信じられなくて本当に嬉しかったです。2020年に向けて自国開催で優勝する経験を積みたくて、こうしたプレッシャーのなかでいかに自分の力を発揮できるかを試す大会でもあったので、結果が出せて良かったです。今週末にはベイル大会、ベイルのあとには日本で初開催のコンバイドジャパンカップが行われるのでリードもスピードにも力をいれて頑張ります。」

<野中生萌選手 コメント>

「最終課題で一撃できたことは私にとってすごく大きなことでした。同じようなテンポで啓代ちゃんと競っているなかで、プレッシャーを与えることができました。ただ、やっぱり最後に登り切った彼女は流石だなと思います。国内開催ということで、応援してもらっているのはすごく伝わりました。二日間応援ありがとうございました! 大事な大会ではありましたが、あくまでも通過点です!しっかり切り替えて、次の大会に臨みます。まだまだ強くなります!!!!これからも応援よろしくお願いいたします。」

<伊藤ふたば選手 コメント>

「決勝は距離も遠くなり、全然対応できませんでした。でも、決勝に残れたのはかなり大きいし、よい経験になったと思います。W杯ではまだ自分らしい登りを出せていないので、今後は出せるようにしていきたい。決勝の雰囲気が本当に楽しくて、またあの舞台に立ちたいと思いました。アキヨちゃんやミホウちゃんがあの舞台で活躍している凄さも自分があの場に立つことで改めてすごいな、とも思いました。次のベイル大会は欠場するので、ミュンヘンが今季最後のボルダリングW杯になります。ミュンヘン大会にはヨーロッパの強い選手がたくさん出場してくるので、そこで準決勝、決勝に進めたらいいなと思います」

<楢﨑智亜選手 コメント>

「優勝を目指してずっとやってきたんですけど、また2位で終わってしまった。やっぱり優勝したいし、みんなの期待に応えたいという思いがありました。去年は結構守りに入っていて攻め切ることが出来になったので内容的には追い込まれた状況で一撃できたので良かったなと思います。去年は1~3課題目までずっと1位で、今回は1つも登れずに5位からだったので、ベストは尽くせたかなと思います。最後は裏で待っているとみんなが初手を失敗しているように感じて、これは一か八か上に飛んでしまえと思って攻められました。ガブリエルには初手をあんなに綺麗に決められてしまい完敗です。去年の2位より清々しい2位なので次こそは日本で勝ちたいですね。」

<楢﨑明智選手 コメント>

「すべてを出し切れば決勝に残れると思っていたので悔しいですね。1~3課題で勝負を決め切れなかったのがダメだったのかなと思います。第3課題はリーチを生かして自分らしく登れましたが、第4課題は苦手な強傾斜でガツガツいくタイプでした。はじめからできる気がしないと感じてしまったことが問題でした。(兄・智亜と兄弟での表彰台という目標が果たせなかったが)アイソレーションで智くんは残れるから、僕が残れればと話していましたが、僕の実力が及ばなかったです。少ないチャンスを手に入れないといけない厳しさもわかりました。今年はFISEやユース大会にしか出てなかったので国際大会の人の多さにびっくりしましたが声援も大きくて力になりました。やっぱりワールドカップは特別ですね。」

<藤井快選手 コメント>

「この敗戦はすごく苦いですけど、次に進む糧になると思って今は頑張ろうと思っています。準決勝の課題は、モスクワで対応できなかった課題と同じようなテイストで苦手なものが多かったと感じていました。自身の課題として取り組んで来たつもりですが、結果的にまだ実戦で使えるようなレベルではなかったですね。技術面だけでなく、メンタル面もまだまだ課題があると突きつけられた大会でした。今はそれを素直に受け止めたいです。来週のベイルはキャンセルしていたんですけど、このままじゃ終われないと思って、急遽出場させてもらえないかとお願いしているところです」

<女子決勝>
1位:野口 啓代(29)/3t3z 5 5
2位:野中 生萌(21)/3t3z 6 6
3位:エカテリーナ・キプリーアノワ(21/ロシア)/2t2z 6 5
4位:スターシャ・ゲージョ(20/セルビア)/0t2z 0 5
5位:アルマ・ベストファーター(20/ドイツ)/0t2z 0 6
6位:伊藤 ふたば(16)/0t1z 0 9

<男子決勝>
1位:ガブリエーレ・モローニ(30/イタリア)/2t4z 3 6
2位:楢崎 智亜(21)/1t3z 1 6
3位:杉本 怜(26)/1t3z 4 8
4位:チョン・ジョンウォン(22/韓国)/1t2z 2 6
5位:アレクセイ・ルブツォフ(29/ロシア)/0t2z 0 4
6位:原田 海(19)/0t1 0 8
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10位:楢﨑 明智(19)※準決勝進出
16位:藤井 快(25)※準決勝進出

※左から氏名、年齢(大会初日時点)、所属国、決勝成績
※決勝成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

写真:日刊スポーツ/アフロ
文:CLIMBERS編集部

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