伊東秀和のボルダリング上達レッスン "5級の壁"を突破しよう【基礎編】

ボルダリングを始めて、楽しくがむしゃらにグレードを伸ばしてきた方も、このあたりで"壁"にぶつかるのではないでしょうか。5級課題となれば、あらゆる傾斜やホールドへの対応が必要となり、力まかせでは通用しなくなります。ここでは、その攻略のために覚えておきたい、正しい体の使い方やムーブの起こし方の基礎を紹介。指南役はTEAM auの野口啓代、野中生萌、楢﨑智亜、楢﨑明智をはじめ、多くの日本代表選手を指導してきた伊東秀和コーチです。

複雑な5級課題の攻略には「反復練習」が重要です

ジムで一番簡単なレベル(8〜10級)、そして6、7級を難なく越えてきた方にとっても、それまで通りにいかないのが5級の課題です。ホールドが小さくなったり距離が遠くなったり壁に傾斜が出たりと、複雑な動きを要求されるようになります。みなさんそれぞれが、自分の苦手とするムーブやテクニックに気づかされるのではないでしょうか。それが"5級の壁"と言われるものかもしれません。

攻略を目指すには技術も必要となり、そのためには他のスポーツと一緒で「反復練習」が大事です。どんどんグレードを伸ばしてきた方も、立ち止まってもう一度、ボルダリングの基礎や自分が苦手な動き方を学びましょう。目安として、毎回ジムで最初の30分間は易しいレベルの壁を使って練習する。リラックスして一つ一つの登りを自分のものにしていく。"登れるイメージ""登れた感覚"を持つ意味でも重要です。

また、長く続けていくために何よりも大切なのは、ケガをしないこと。ボルダリングにはまり始めた頃は、ついつい没頭し、無理してしまうこともあるでしょう。個人差はありますが、週に2、3回ほどにし、一度登ったらレスト(休息)をしっかり取る。半年ほどすると自分に合ったペースが掴めると思いますので、オーバーワークに気をつけて楽しんでください!

5級攻略のコツ①:体のポジショニング
腕と足のラインは広く保とう

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写真を見れば一目瞭然。すごく単純なのですが、2枚目はビギナーがついついやってしまいがちな体勢です。力まかせに登ろうとして、ホールドにしがみついてしまう。こうなると体の中心が壁から遠のいてしまい、手はもちろん足も疲れやすくなります。腕のラインと足のラインの幅を十分に取ることを、常に意識して登ってみてください。壁面でリラックスできる時間も長くなります。「背伸びして取る」くらいのイメージで、次のホールドを目指しましょう。

5級攻略のコツ②:足の置き方
フットホールドに正しく乗ろう

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フットホールドはつま先で乗れ、というのはクライミングの基礎の基礎。ただ、そう意識していても初心者の方は母指球(親指の付け根のふくらんだ部分)のあたりで登っている場合が多く見受けられます。地面では普段ずっと足裏全体で立っているのですから、最初は難しいんですよね。グレードが高くなると、ホールドも小さくなっていくので、指だけで立つことに慣れておくことが大事です。かかとを壁から離し、親指と人差し指の腹を軸に置いてください。

5級攻略のコツ③:上下の重心移動
下半身の"タメ"で上への推進力を

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①でも示したように、ビギナーは腕の力に頼りがち。次のホールドを目指す時は、下半身を落としてから上がる、この"タメ"の動作を自然とできるように身につけましょう。地面でジャンプをする場合と一緒です。腕の力は抜き、下半身の力で体の中心を押し上げ、上への推進力を出す。腕だけ、足だけと部分を意識するのではなく、体全体でリラックスして動き、手はあとから出てくるイメージです。この重心移動は「反復練習」で体に覚えこませたいですね。

登る前には忘れずに!
ジムで簡単にできる5分間ストレッチ

ケガを予防するためにストレッチは欠かせません。クライミング前のウォームアップで行う一連の運動を紹介しましょう。ジムが混み合う時間帯でも、狭いスペースで立ったまま可能な、上半身と下半身のクイック・ストレッチ例です。

まず上半身では、肘と肩を伸ばす一般的な運動を3種類。指を伸ばすストレッチは、手のひらと甲を正面に向けてそれぞれ行います。

上半身1

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上半身2

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上半身3

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下半身は、後ろ側全体を伸ばす運動から。両足をクロスして上半身を曲げ、両手は脱力して左右に揺らしましょう。続く足首とアキレス腱のストレッチは、片足は正座で、もう一方は膝を立て、そこに力をかけます。左右を入れ替えで行ってください。あとは一般的な膝を回す運動と伸ばす運動をし、手首・足首をほぐしたら、最低限のストレッチは完了です。

下半身1

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下半身2

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下半身3

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今回紹介した【基礎編】の3つのポイントを押さえることが、"5級の壁"突破への近道になることでしょう。次回は【実践編】として、傾斜やホールドに対応するためのムーブやテクニック、そのトレーニング方法をお届けします。

  • 伊東秀和
  • 伊東秀和(いとう・ひでかず)
    1976年、千葉県生まれ。2002年、03年のジャパンツアー年間王者。日本代表として11年まで世界選手権5大会に連続出場(リード種目)。現在は『伊東秀和クライミングスクール』を主宰し、多くの日本代表選手からユース世代、一般の方まで幅広く指導している。『スカイA』スポーツクライミング番組の解説でもおなじみ。

2018年2月28日

写真:森口鉄郎
撮影協力:PUMP2 KAWASAKI

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